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ニュードキュメンタリー最終報告


投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。

中嶋駿介です。

最早手遅れかもしれませんが、最終報告を投稿したいと思います。



この一年間を思い返してパッと出てくるものは、

1.リアルという言葉!
2.ダイアン・アーバスの写真!
3.笠智衆のタイムトラベル!
4.吉増剛造のお手製かわいい映画達!
5.ゲットーと同化せよ!ペドロ・コスタ!
6.セックス・・なし『ダブル・ブラインド』
7.どう俺の嫁!?『気狂いピエロ』

です。以上についてざっと自分なりに感想を述べていきたいと思います。


1.リアルという言葉
リアルという言葉はこの一年で何回口にしたか判らない程発した記憶があります。Ustreamに保存されている全授業の動画の中から「リアル」という言葉を見つけ、それをニューシネマパラダイスのラストのように編集するのはいかがでしょう?様々な「リアル」が飛び交い、きっとリアルな作品になると思います!

2.ダイアン・アーバスの写真
ダイアン・アーバスの写真で、特に公園で手榴弾を持つ病的な少年の写真では、その全世界を敵に回したような目が印象的でした。これはダイアンのやらせなのか、少年の内部から湧き出る狂気なのか気になります。もしかしてこの感覚こそが現実と虚像が織り混ざったドキュメンタリーなのかもしれません。

3.笠智衆のタイムトラベル!
『東京画』の笠智衆は『東京物語』の時代からタイムスリップしてきたとしか思えません。化粧とモノクロフィルムは一種のタイムマシンなのかもしれませんね。ただ、折角インタビューをしたのにナレーションを被せちゃうなんて、俺の東京はこうだ!といった具合にヴェンダースが理想を求め過ぎたとしか思えません。

4.吉増剛造のお手製かわいい映画達
吉増剛造の手作り映画を真似て、僕も『THE IKIZAMA』という作品を制作しました。何気ない日常を撮るつもりが、偶然カマキリなど数多くの昆虫の死を目の当たりにし、作品が予定とは全く違った方向へ向かい始めた事に「もしかしてこれがドキュメンタリーなのか!?」と感じた記憶があります。スケートボードで家に帰還するラストが、嘔吐を誘発しそうなノーカットのロングバージョンも観て頂きたかったです。

5.ゲットーと同化せよ!ペドロ・コスタ!
ゲットーの映画を撮るならゲットーに住め!と映画と生活を単一のものとして捉えていたペドロ・コスタ。『骨』以降、僕もこの事を強く意識するようになり、何度か自分の生活を定点カメラで撮影してみたりしました。この経験から自分のテリトリーで映画を撮る事により、ロケでは生まれない「慣れ」を映像内に感じる事が出来ました。

6.セックス・・なし『ダブル・ブラインド』
これは・・ノンフィクション?でも展開もしっかりしているし・・でも編集の力でもあるだろうし・・と色々考えながら観た映画でした。役者である監督は「あ、脚本はこうだったけど、こっちの流れもあるぞ!」とイレギュラーに流れを変える事が出来ます。そして、それに答える相手の役者も凄い。やはりこういった映画は本当に結婚する勢いの男女が撮るべきなのだろうと感じました。

7.どう俺の嫁!?『気狂いピエロ』
今回も可愛く撮ってやるぜウへへへ!みたいなゴダールのアンナ・カリーナに対する愛情を感じさせる映画。ゴダールのそういった目線が、アンナのチャーミングな一挙一動から伝わってくる感じがしてなりません。僕も自身の作品で出演者の女の子をもっと可愛く撮ってあげたい!と思いすぎるあまり、彼女とケンカしてしまった記憶があります。なんだかその経験が一種のドキュメンタリーのような気もします。やはり役者と監督の距離というものはいつの時代も絶妙であります。


まとめ
僕の中のニュードキュメンタリーとは「体験こそドキュメンタリー」という言葉だと思います。ドキュメンタリーと言われる作品を観て、影響を受け、それを参考に自分で体験してみる。これこそが僕の考えるニュードキュメンタリーだと思います。

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