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ニュードキュメンタリーとは 絵画 生井沙織

虚構が事実を浸食しその姿こそが現実となり、もはや虚構ではなくなる。そしてそれは繰り返される。
私はそのようなことに強く惹かれるし、それがニュードキュメンタリーの姿…なのかなと考えています。

授業で観たソフィ・カロの「ダブルブラインド」は特にそれを強く感じて、わかりやすかったドキュメンタリー映画です。
作者本人が出演し、男(昔のカレ)にアメリカ横断旅行ロードムービーを撮ろうと持ちかけて車を転がして、互いを撮り合いながらその映像のバックに心に浮かぶ彼らの本音が流れ交錯するものですが、なにより面白いのは作者と男が本当に結婚すること。
きっとソフィは本当に男と結婚したくて始めたのだろうけど、中盤までは二人とも科白を読んで演じているようで、この映画のことを念頭に置いているように感じられた。(もちろん台本などない)
しかし時間を追うごとに彼らの本音が滲み出て溢れてくる。男は「彼女は本当に結婚する気なのか」と心の中で口にするし、彼女は「彼は結婚のことを口にしないようにしている」と心の中で口にする。
そしてベガスに着いた時ソフィからの問いに男が一度ノーを出す。そして改めて結婚することにする。この時の男の煮え切らない顔といったらない。
はじめは虚構であるかのようなものが事実を浸食していく、まさにそれを観た気がしました。いや、むしろ現実が元々無いのか、、とも考えた映画です。

私自身そういったことに興味を持って制作しているので、ニュードキュメンタリーという視点をこの授業で考えることができてとても勉強になりました。
一年間ありがとうございました。
投稿中に12時を過ぎてしまい、先生方申し訳ないです。


絵画 生井沙織

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