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留学生レポート(島田温子)

島田温子

領 域 : 室内建築
留学先 : イギリス サウサンプトン大学ウィンチェスター美術学校
期 間 : 2009年1月30日~3月14日
担当教授 : Paul Stevens, Naomi Depeza, Steve Sanderson, Rob Smith
研究テーマ : 環境と生きる芸術


研究概要(日程・内容など)

2月2日~3月13日 ストーンヘンジ

ストーンヘンジにまつわる神話や、現在の状況、人の関わり方を中心に調査した。 現地に出向き、実際に観察し、周囲の状況を確認し、地元の人に話をきき、どのようにストーンヘンジと関わっているかを調査した。 また、石の配置方法等がどんな風に自然のシステムとかかわり合っているか、現地で確認をした。
しかし、調査するに従って、ストーンヘンジが死んだ遺跡であるように感じてきた。

2月2日~3月13日 課題:Reflective Journals

 日頃の生活の中で興味の引かれるヴィジュアル等を1冊のノートブックに貼付けていく。その際に、なぜ気になったか、どんな特徴のあるものかを言葉でまとめ、レポートを残し、各自の興味関心がどの方向に向かっていっているのか、を自らで探る課題である。
 私は、この課題で本や、インターネットを利用し、様々な生物の生態系や生命体の仕組み、細胞のヴィジュアルを多く集めていた。また、博物館や美術館、植物館を巡って資料を観察し、細やかな世界に没頭していた。細やかで生々しく、ファンタジックな生物に取り付かれていた。本当に生きているのか疑いを持つようなものをよく収集していた。また、アウトサイダーアートにも関心を持地始めた。

2月2日~2月16日 課題:SUPPLEMENT

 実際にイギリスで流行している雑誌を選択し、そこに挟まれる小冊子の編集デザインを行う。テーマはその雑誌で取り上げられそうなものに決めて制作を行う。最終的に271mm×206mmの大きさで12ページほどにまとめて提出する課題である。この課題では、水をテーマにした。生活に関わる水、人体に関わる水、神に関わる水をトピックに設けた。水のもつ流動的な普遍性を軸にまとめていった。私たちにとってとても身近でとても遠い存在であるように感じた。

2月23日~3月13日 課題:Genius Loci

 守護神のいる場所、神秘的な空気を帯びている場所、空間、瞬間などをテーマにグラフィックで表現を行う。作品形態はイラストや、アニメーション、映像など、様々である。
 この課題では、目を閉じたときの瞳の奥にある場所がGENIUS LOSI であると考え、制作を行った。
目を閉じたときに起きるリアルとファンタジーが混ざり合う世界にこそ、私たちは神や、神秘的な何かを求めるのではないか。しかし、現実はもっと醜く、私は見てみないふりをしているのだ。作品形態は12秒の無限ループのアニメーションである。生きる環境、そして私たちの体や脳に起きている事を制作を通して感じていた。


研究成果

ストーンヘンジ

shimada_01「ストーンヘンジ?あー、いった事ないよ。有名だよね。」
そんな返事が地元にすむ女の子から返ってきた。話を聞いてみると、多くの子が行った事がないという。こんなにも世界的に有名な遺跡がなぜ?という気持ちもあったが、日本に置き換えてみればわからなくもない。
下車駅はソールズベリー。そこから観光ツアーが組まれ、30人ほどの観光客をつんだバスが出発する。訪れる人々は音声ガイドを片手にぐるりと一周し、ストーンヘンジを眺めている。ストーンヘンジという存在は、完全に神話化されており、疑うすべもなく、ただそこに立ち尽くしているようにかんじた。研究に向かう前のリアルな感情が硬直してしまった。

Reflective Journals

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水中生物を中心に収集し、スケッチをしたり、特徴を文章でまとめたりしていた。
中には現代アートや、アウトサイダーアートの作品の切り抜きもある。一つ一つバラバラであった興味や関心が少しづづ繋がっていくような感覚であった。
水中生物が持つ独自の生命システムに対しての驚きや疑い、生々しく瑞々しく生きるエロチックな感覚が私との感覚を結ぶ。

SUPPLEMENT

水彩絵の具で描いたカット。流動的な普遍性と、現実的でありながらも、神秘的な存在感を持つ水がテーマであった
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Genius Loci

「NO WARDS」
12秒間の短いアニメーションがひたすらに流れ続ける。
目を閉じれば、現実が幻想に変化し、幻想は醜い感情とともに美しく見えるように流れ続ける。目を閉じたときに見える世界に、私の中の信じる部分と接し合う事ができるのです。
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留学先指導教員による指導内容

NAOMI

① サプリメントに関しては、インデザインソフトの使用方法が中心になった。ノートを使ったりしながら、詳しく丁寧な指導をしていただいた。導入では、サプリメントの歴史や、雑誌のデザイン例、フォントなど、概念から実際の制作方法まで、細かい指導があった。
②ジーニアスはとても興味を持ってもらえた。週に1度の中間好評講評では、キューブリックの作品や参考になるものを何点か紹介してもらった。制作への大きなヒントになった。導入では、アニメーションを見たが、これはエジプトを舞台にしたファンタジックな物語であった。また、文章の一文を参考にする等、具体的に指し示す作品が多かった。

Steve

① サプリメントでは、イギリス英語の正しい使い方の指導をいただいた。何の疑いもなく使っていた英語でも、その状況や記載する方法によって、正しい使い方があった。

Paul

①アニメーションの音についてもっと考慮すべきだと意見をいただいた。音は作品において絶大な力を持っていて、作品を生かしも殺しもする。ゆっくり音と向き合った見なさい。といっていただいた。実際このときは無音のアニメーションを流していた。また、鳥が虫に食べられるシーンを気に入ってくれた。


留学中に、特に印象に残った点および反省点

まず、留学にあたっての大きな反省点は研究テーマが大きく変わった事である。しかし、反省といっても、自分にとっては大きな出来事の始まりでもあった。卒業制作を経て、制作者の自分を客観的にみられるようになっていた。以前は、自然や生きる事の神秘に真っ直ぐな関心を抱き、自らの日常や生を飛び越えて作品に向かった。それは、動物であり、虫であり、星であり、大地であり、私以外の存在がまぶしくて仕方なかったのである。卒業制作では表現する事の難しさに直面した。自分という存在が欠け、正当化されたファンタジーだけが残ってしまった。そのため、留学先では、もっと自分に身近な環境や、神秘をテーマにした作品制作をしようと考え、1ヶ月半を過ごした。

校舎は小さいが、充実していた。ファインアートの生徒の作品が常に学校で展覧会をしてました。

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英語には今でもあまり自信がない。講評会のときは先生の言葉を聞き取れずに困惑もしたが、向こうの友人があとからゆっくりと教えてくれた。本当に助かりました。大切なのは伝えたい気持ちと、スマイルです!あとは、相手が何を言いたいのかしっかり考えながら話を聞くと、話の内容が見えてきます。こんな感じで、コミュニケーションをとっていました。

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