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ワイズマンと楢山節考(備忘)

ワイズマンの映画、結局最終日の二本だけしか見られなかった。 「チチカット・フォーリーズ」と「ボクシング・ジム」。どうやら始めと最近のを見比べたことになるようだ。
日参してでももっと見ればよかった・・・・というのが正直な気持ち。これはいつもことがすんでから襲われる感情。しかしそのときは、人のものばっかり見ていると自分の時間がなくなってしまう、などという気持ちが勝ってしまってつい・・・・。書店に入ってああ読みたい本があるけれどそれを逐一読んでいたら時間が、と思う感じと同じようなものだ。
それはともかく、説明、ナレーションなしというワイズマンのドキュメンタリー、白黒映画なのに記憶の中ではカラー映画だったという印象に似ている。 ボクシング・・・・のほうはカラー作品だったが、シーンの編集がフィルムを雄弁な、饒舌なものにしている、と感じた。お喋りな人より無言の人のほうに雄弁さを感じることに似ているのかもしれない。説明があろうとなかろうと、映像はすべからく雄弁なものだなとあらためて思う。
そして昨日、NHK/BSで木下恵介監督の「楢山節考」を見た。私にとっては何十年ぶりかの再見。

悲惨な、あまりにも悲惨な話を虚構の極地である浄瑠璃仕立てにした映画。古い昔の悲惨がいまなお形をかえて社会に存在しているではないかと、木下恵介独特のアクチュアリティーでその<浄瑠璃映画>がつくられている。すごい技を持った映画人だ、とすごい腕前の大工の仕事を見た感じ。

私にはワイズマンと木下恵介はそんなに異なっていないように思える。(2011/11/28-柳本)

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