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富士山テキスタイルプロジェクト


共同事業者名 富士吉田市機屋:舟久保織物、有限会社田辺織物、宮下織物株式会社、有限会社渡小織物、有限会社オサカベ、光織物有限会社、株式会社オヤマダ、アクス株式会社、フジファブリック株式会社、武藤株式会社、株式会社槙田商店
協力 富士吉田織物協同組合、山梨県富士工業技術センター
事業実施機関 2009年8月~継続中
担当教員 鈴木マサル准教授

富士山テキスタイルプロジェクトは富士山の麓、山梨県富士吉田市の織物メーカー数社と東京造形大学テキスタイルデザイン専攻領域との産学協同開発企画として2009年に発足しました。以降毎年開催され、今年で5期目を迎えています。

29_2014そもそものきっかけは繊維産地が慢性的に抱える閉塞感を打開したいと考える若手の職人たちからの申し出を受けた事でした。それに対し我々は、これが単なるイベントに終わらず、実際に彼らの仕事に直結する成果を上げる事を目標に掲げて取り組みました。メーカー1社に対し学生1人を担当させて、都心に近い産地の利を活かし、インターンに近い形でメーカーとの二人三脚で商品開発を進めました。
このプロジェクトがスタートした2009年当時、富士吉田の繊維産地は生産のほとんどをOEMと呼ばれるブランドからの委託生産に頼ってきた結果、織物産地としての特色やアイデンティティーが薄れてきてしまっていました。加えて、繊維問屋の海外生産への移行などにより、メーカーは自社企画製品比率を上げるとともに、新規の販路開拓が急務な状況にありました。参加メーカーの方々はこのプロジェクトがそういった問題を解決すると考えていたわけではないと思いますが、何か動き出すきっかけを必死に模索している状況だったのだと思います。

実際にプロジェクトがスタートしてみれば双方が手探りの状況ですから、やはり次から次へと問題が発生しました。メーカー側は自身の価値観からはまったくかけ離れた提案をして来る学生に翻弄される一方、学生側は普段、大学では手作業でしか生地を作った経験しかない訳ですから、初めて対面する機械生産の仕組みに戸惑いました。そんな試行錯誤の作業は、メーカーにとってはただただ大変でしかないはずでしたが、学生の持っている新鮮な視点や熱意は徐々にメーカーにも何らかの形で伝わり始めました。その結果、問屋やブランドに提案するマテリアルとして、このプロジェクトで開発した生地が採用されるなど、少しずつ目に見える形で効果を上げてきたのです。

2年目が終了する年に数名の学生が富士吉田に就職という形で産地に入りました。彼らの仕事だけにとどまらない産地での積極的な活動により、富士吉田は徐々に活性化し始めました。3年目には卒業後もメーカーとの共同開発を続けた卒業生により、プロジェクト初のファクトリーブランド「kichijitsu」が誕生しました。そして「おまもりぽっけ」「GOSHUINノート」等の大ヒットアイテムが生まれ、山梨日日新聞のトップ記事で紹介されるなど各メディアの注目を集めることになったのです。その後も「harefune」「cocioroso」等、この企画発のファクトリーブランドが次々と生まれ、近年はメーカー側のこのプロジェクトに対する意識もより真剣なものへと変化してきています。

今年2月には六本木のギャラリー・ルベインで第5期の成果発表展が行われ、多くの来場者を集めました。バイヤーからは某百貨店での展示を打診され、現在も前向きに交渉が進んでいます。そして今期は富士吉田市の隣町の西桂町からもメーカー2社が参加し、やはり数名が卒業後に西桂町の織物メーカーに就職する事に決まっています。商品開発を目的としてスタートした企画ですが、1対1で開発に取り組む事で生まれた強い関係性が、結果的には若い人材を産地へ供給する事に繋がり、富士吉田は今までになく活気づいてきています。

我々はこの企画に関して、実はしっかりとしたロードマップを描く事なくここまでやって来ました。要は、状況がどう変わるか、どのような問題がわき上がるか予測がつかない中、ある意味、場当たり的に諸問題を解決してくるしか方法がなかったのです。しかし、そういった局面には常にメーカーと学生双方の目標に立ち向かう粘り強い努力があり、さまざまな難問を解決してきました。とりわけメーカー側の真摯な対応があってこそ、このプロジェクトはここまで続けてこれたのだと思います。 見返りを求めない献身的な情熱は、硬直した状態を動かす推進力を持っている。そんなことを逆に我々が教えられた5年間でした。今後どのような展開を見せていくのか予測することは出来ませんが、この先も6年、7年と続き、産地の発展に少しでも貢献していけることを願って止みません。(准教授 鈴木マサル)

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