CSP4 あること ないこと

2017年11月8日(水)~12月9日(土)
青木豊・荒井伸佳・鈴木俊輔

左から
青木豊《void》2015年 アクリル、スプレー、綿布、パネル撮影:sprout curation
荒井伸佳《Nowhere / Now Here》2016年 合板、LED,その他
鈴木俊輔 《落ちた鳥》2016年 キャンバス アクリル 


CSP(Creative Spiral Projectの略)は、東京造形大学美術学科教員が主体となり、東京造形大学卒業の芸術家の発表支援と活動記録の蓄積をとおして、新たな芸術表現の育成と社会還元を行うことを目的としたプロジェクトです。2013年から2015年まで桑沢デザイン研究所の展示スペースにて3回開催され、本年2017年からは東京造形大学附属美術館にて、開催されることになりました。今回も引き続き展覧会、シンポジウムを開催し、記録としての役割を果たすカタログの発行を行うことで社会へ発信します。
4回目の展示「CSP4」は「あること・ないこと」というタイトルを設定しました。
「あること・ないこと」何を表現するのか ?それは掴みだけのインチキなハッタリをかますのではなく、多様性の安易な容認でもありせん。作家の自由な発想、設定、プロセスの中で美術家は「独自のテーマ」を探りながら、個々にとってのリアリティを立ち上げます。それは、作家にとっての「本当のこと」だとも言えます。絵画/彫刻という枠組みを超えて「フィクションの中で本当の事を言う、つまり嘘をついて本当を言う」少し謎かけみたいな言葉を今回のテーマにしました。美術表現はあくまでも個々の経験、価値観、信念の中で技法とプロセス、素材とのやり取りを通じて物として存在させ、何がしかの真実を表現しようとします。
 それは自分の考えの説明を目的とするだけでは無く美術表現として成り立つ瞬間の、ないのにある、あるのにない、なくても感じる、まさに人間の思考や感覚器官全てに働きかけます。今回は3名の作家を選び、展示してもらいますが、其々は違う手がかり、プロセスを経て作品を立ち上げながら制作し、それは彼らにとっての「本当の事」になるのだと思います。異常な速度で逆走し、暴走しだした、この時代だからこそ、作家達にとっての「大切な事」を確認したいと思います。

CSP実行委員 高橋淑人

▼開催概要

2017年11月8日(水)~12月9日(土)
開館時間:10:00-16:30(入館は16:00まで)
休館日:日曜・祝日
入館無料

主催:東京造形大学附属美術館、CSP実行委員会、
    東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域・彫刻専攻領域
本展企画:CSP実行委員 高橋淑人(東京造形大学教授)
協力:末永史尚(東京造形大学 非常勤講師)
    下山健太郎(東京造形大学 絵画専攻助手)

オフィシャルサイト:http://www.zokei.ac.jp/csp/index.html

▼関連イベント

シンポジウム
日時:2017年11月25日(土)17:00-19:00
パネリスト:青木豊、荒井伸佳、鈴木俊輔
ゲストパネリスト:ロジャー・マクドナルド(インデペンデント・キュレーター)
モデレーター:藤井匡(東京造形大学准教授)
会場:東京造形大学12号館201教室

・レセプションパーティー
日時:2017年11月25日(土)19:00~
会場:東京造形大学10号館1階


▼出品作家

■青木豊 (Yutaka Aoki)
2008年 東京造形大学 造形学部美術学科絵画専攻 卒業
2010年 東京造形大学大学院 造形研究科美術専攻領域 修了

多数の素数
実は、私たちは本当は全てを知っているのではないでしょうか。いきなり何の話だといった感じですが、歴史が保有する膨大な情報の中には、埋もれてしまった、あるいは隠されてしまった数多くのことがらがあるのだと思います。均質な情報を印刷するプリンターのような現代において、幻の世界は終着点に辿り着いたと言えるでしょう。古来より人が祈りを捧げる際に踊り・舞ってきたように、そこに掛かる負荷、つまりエネルギーは本来、消費/使い捨てられるものではないはずです。美術(もしくは、、)を人間の手元に返したいと考えながら制作しています。

青木豊《untitled》2015年 紙、パネル 
撮影: sprout curation




■荒井伸佳 (Nobuyoshi Arai)
1993年 東京造形大学造形学部美術学科美術Ⅱ類卒業

 私たちを取り巻く世界は容易に知覚できないような謎に満ちています。
それらの謎を放置する事なく、数多の真実や存在と不在にまつわる事柄について観察、考察し、自身の立脚する位置から美術として成立するよう作品を制作しています。また空間に於ける彫刻の役割と可能性について探求し、答えのない質問を繰り返しています。




















荒井伸佳《集合と自立》2016年、木材、結束バンド




■鈴木俊輔 (Shunsuke Suzuki)
2001年 東京造形大学造形学部美術学科美術専攻Ⅰ類卒業
2002年 東京造形大学研究生修了

何も考えずに、ただぐちゃぐちゃにぬりつけられたキャンバスの中に、一点の美しさを発見すること。それが、私が絵を描く原点だと思う。
道端に生え、咲き出す草花の生命力。
夕食の魚を音もなく盗み取り、唸りながら食べる飼いネコの野生。
夜明けに、静寂の中から、少しずつ聞こえてくる鳥たちの声のリズム。
日々の生活の中で、わずかに本能的に感じる美しさを大切に紡ぎながら、線を引き、色をぬる。
表現したいという衝動を解放し、自由に色と形が連続するイメージが、作品を見た人の中で、それぞれの美しさの発見につながることを信じて制作を続けている。

鈴木俊輔《猫》2016年 キャンバス、アクリル 









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