渕沢照晃個展「無限構築」

渕沢 照晃
美術I類 1993年度卒業
「ユニークとしての版画」
「無限構築」は版画(銅板エッチング)の特性である複製性に敢えて立ち向かう形で発表される版画のシリーズである。
作品は刷り出された版画と その銅版を組み合わせて額装される。
この構造により、「無限構築」は版画でありながら強固な一点性を獲得している。
版画には誇らしく1/1のサインが書き込まれている。
一方銅版は、本来ならば多数枚刷った場合でも版の疲労が起きないように施されるクローム メッキがなされ、レリーフの様な美しさを醸し出している。
それらを収める独特の「眼鏡額」の楽しさもこの作品の魅力を引き出している。
渕沢は版画のもつ複製性ではなく、銅板エッチングによって得られる精緻な線の魅力にこそむしろ言及している。
以下のステートメントにある、封印されていたイメージの開放と同様に、構造的な発想と言ったものが、この「無限構築」シリーズの様式を生み出したのであろう。
レントゲンヴェルケ
代表取締役 池内務
「無限構築」
今回の作品は今までのように「線」による表現には違いないが、
あえてできるだけシャープな「直線」による無機質なイメージを展開させた。
するとあえて封印していたかのようなイメージが溢れ出た。
自分の中の男子中学生が再噴火したのかもしれない。
つまり「メカデザイン」魂というやつだ。
今、ひとつの時代が終わろうとしていることを実感している。
それは自身の制作、生み出すイメージにおいてでもある。
その前に自らを育んできた図像のルーツを再確認したのかもしれない。
どれほど昔から造り始めたのかわからない
その巨大な星へ行く船は
そのあまりの大きさから重力に縛られ
ついに一度も船出することなく朽ち果てようとしている
しかし眼下では地に根を張るように建造され続け
有機体のように増殖分裂を繰り返した
あたかも惑星を覆い同化するかのように
未来に向けて小品の小窓から一族の物語の断片を。
渕沢照晃
開催期間
2012年10月5日~2012年11月25日
休館日
月~木(金土日曜日のみ開廊)
時間
11:00-19:00
入場料
無料
会場
ラディウムーレントゲンヴェルケ
会場住所
中央区日本橋馬喰町2-5-17