19:00―23:00

NIE ZEWEN
大学院デザイン研究領域 2021年度修了
中国が急速に発展を遂げる中で、「発光建築」は各地の夜景に不可欠な存在となっている。数十棟におよぶ高層ビルが連動してライトアップされ、数キロにわたる光と影のショーを織り成し、壮大かつ華麗な都市景観を形づくっている。
地方政府は、こうした発光建築を通じて都会的なイメージを演出し、経済的な成功を示すとともに、都市の力強さや現代性を視覚的に伝えようとしている。しかし、これらの発光建築の役割は、単なる視覚的な華やかさにとどまるものではない。
「建築で権力を表す」という行為は、人類社会において古くから存在してきた。古代の宮殿や城壁、記念碑から、現代の発光建築に至るまで、いずれも派手な形で、空間における統治者の権力を強調し、固めてきたのである。
発光建築は、かつてない「情報を伝えられる都市景観」として、そうした伝統を受け継ぐと同時に、現代における「景観的支配」をも体現している。すなわち、現代社会は景観を通して人々の感覚や感情をコントロールし、既存の権力構造を強化しているのである。発光建築は都市空間を支配するだけでなく、視覚的に人々へ「繁栄」「秩序」「勝利」といったメッセージを語り続けている。
今の中国、特に郊外や地方においては、発光建築が工事現場、畑、老朽化した住宅街と共存している。そこには、光と影、華やかさと貧しさ、近代と停滞が同時にひとつの都市空間に存在している。
「19:00~23:00」は、発光建築がライトアップされる時間帯である。本シリーズの作品は、そうした表層の華やかさとその背後にある現実とが並置された状態を、冷静な視点をもって記録したものである。何かしらの物語を語るのではなく、この断絶や矛盾を感知できるような、視覚的空間を提供しようとする試みである。
開催期間
2025年5月20日~2025年6月1日
休館日
5月26日(月)
時間
12:00~19:00
入場料
入場無料
会場
ARTiX³ 1F·2F
会場住所
〒110 -0003 東京都台東区根岸3-13-1