豊嶋康子 発生法 ── 天地左右の裏表

豊嶋康子
絵画専攻領域 教授
「美術の領域でやることは、相手の想定する領域を広げることだと思います。」
「自分の住んでいる空間を、自分の意思で組みなおす。」 ―― 豊嶋康子
豊嶋は「表現」を万人の行為と捉えていることからも、その創造が美術の専門家だけに向けられたものでないことは確実です。「考えさせる」作品であると同時に、「見る」楽しみや「作る」ことの誘惑も感じさせる豊嶋の作品群。同時代を生きる私たちにとって、「自分事」である作品に出会えるかもしれません。
30年におよぶ豊嶋の制作を、およそ400点により明らかにする、初の大規模個展
1990年、東京藝術大学在学中に西武高輪美術館で作品を展示して以降、コンセプチュアルな傾向のうちに一貫して自身を関与させる当事者性を備え、継続されている豊嶋の制作ですが、その独自の在り方は、これまで、特に実際に制作を行う作家たちの間であつく支持されてきました。近年はグループ展への参加などを通してあらためて注目を集めており、全体像を概観する機会が強く望まれてきました。本展は、初期作品から新作まで、当館所蔵作品および個人蔵の作品も含め、およそ400点を初めて一堂に公開する待望の個展です。
幻の?初期作品を公開
本展では、豊嶋作品のなかでも、1990年に田村画廊、および西武高輪美術館(軽井沢)で展示され、作家としてのデビューを飾った2作品、〈マークシート〉、《エンドレス・ソロバン》を、全面修復のうえ33年ぶりに公開、オリジナルのインスタレーションを受け継ぐかたちで展示します。中でも〈マークシート〉は、豊嶋が自身の表現をつかんだ重要な作品です。(*《エンドレス・ソロバン》は、西武高輪美術館のみで公開)
豊嶋本人の構想にもとづいた展示構成で、作家の思考を「見る」
豊嶋の作品それぞれが持つ物理的な構造は、さまざまな事物や事象の仕組みを独自の視点で読み替え、構築したものと捉えられます。本展では、作家自身の構想にもとづき、個々の作品が持つ構造に応じて緩やかにグループ化された作品同士の関係性を見ることができます。システムを素材とする作家に相応しく、「美術館」それ自体も、捉え直され、読み替えされることでしょう。展示室全体、相照らし合う複数の作品の重なりや繋がりを探りつつ、作家の思考に触れてみてください。
開催期間
2023年12月9日~2024年3月10日
休館日
月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日~1月1日、1月9日、2月13日
時間
10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
入場料
一般1,400円(1,120円) / 大学生・専門学校生・65 歳以上1000円(800円) / 中高生600円(480円) /小学生以下無料
会場
東京都現代美術館
会場住所
〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1-1