1本で複数の木 / Protean wood 狩野哲郎 個展

狩野哲郎
大学院美術研究領域 2006年度修了
YUKA TSURUNOでは来る4月7日(土)から5月12日(土)まで、狩野哲郎 個展「1本で複数の木 / Protean wood」を開催いたします。
狩野哲郎は現在まで、植物の種子を展示空間に蒔き、成長を見守るインスタレーションや、鳥と植物を内包した空間設計としてのインスタレーションなど、レジデンスや滞在制作型のプロジェクトを中心に自然物と既製品を組み合わせたインスタレーション、ドローイング、写真などを使ったサイトスペシフィックな作品の制作に取り組んできています。昨年2011年には、東京都現代美術館の敷地内に建てられたパヴィリオンでの展示「ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト」のトップバッターとして個展を開催し大きな話題になりました。そこでは網やホース、鳥脅しなどを用いて、「自然の設計/Naturplan」と称したインスタレーションに鳥を招き入れ、美術館の展示室に配置された、様々な既製品という人間にとっての記号的な意味を持ちながら、鳥にとっては生活環境として認識されていく、新たな空間の知覚方法を提示しました。このように狩野は、作品材料や作品を展示する空間を、それらがあらかじめ持っていた何らかの意味や機能を逸脱し、新たに組み合わせることで、日常的なスケールの中でのランドスケープ、またはドローイングのような空間をつくり出します。植物や動物など、人間にとってはコントロールできない偶然性をも内包した作品は、私たち人間の知覚とは異なった時間の流れを感じさせ、同時に、同じ環境の中で人間以外の生物もそれぞれの「自然」の中で生きていることへの想像を促します。
YUKA TSURUNOでの初個展となる本展は、「自然の設計/Naturplan」シリーズの新作インスタレーションとドローイングによって構成されます。タイトルとなっている「1本で複数の木」とは、生物学者であるユクスキュルの「一本のカシワの木が、多種多様なそれぞれの生物にとって変化にとんだ役割を果たしている」という考えに基づくものであり、そこから狩野が独自に発展させたものです。世界をどこか傍観者として眺めるような姿勢で、人間によって意味付けされたものに疑問を投げかけながらも、それらを越えて存在する生き物たちの「自然」とそこから派生する文化に対する狩野の深い洞察が作品をもって立ち現れます。
開催期間
2012年4月7日~2012年5月12日
休館日
火、日休廊
時間
11:00-19:00
入場料
無料
会場
YUKA TSURUNO
会場住所
東京都文京区関口1-30-9