2Ps - 「危機(のない)」時代のパサージュ・パルタージュ

清水哲朗
絵画専攻領域 非常勤講師
他、7名
<「2Ps」展通信 – ( 6 )>
今回東京造形大学附属美術館内に展示された、祐成政徳による巨大な風船状の作品は、「庭園」をイメージして制作されたものです。ご本人も制作と並行して、庭づくりのお仕事にも習熟されています。今回はその「庭づくり」=「庭園の構築」が作品化され、美術館内空中に吊るされています。それを含む空間全体が作品となっています。しかし、それは今回の祐成作品に限ったことではありません。私は、彼の作品を見るたびに、多分「庭園」のような拡がりを感じてきたのかもしれません。それはちょうど、京都の大きな「回遊式庭園」を歩いた時の経験に似ています。池の周りを巡りながら、飛び石を渡って、見る位置を変えてゆく。その時目に映る風景は、時事刻々と変化して行きます。そんな心地良い、見ることを通した体全体での感覚です。そのことを、祐成作品を目前にして周りをめぐる時にいつも感じているのです。そのような体験をもとに、私は祐成さんの立体作品を、「開かれた立体」と呼んでいます。今回発表された美術館内空中展示作品は、ギャラリーの半分が地中に埋められたかのような、白井晟一氏設計の美術館空間内で、まさに実現されたものですが、それは、風船の技術を駆使した空中庭園であり、また、地中も空中も大きく包み広がり続ける、祐成政徳ならではの、「開かれた立体」の方法で実現された、巨大な「美術館内庭園」の姿です。私は今ここに、祐成政徳作品の、「開かれた立体」の集大成の一つを、感じています。
2022年6月23日
清水哲朗
<祐成政徳さんによる作家ステートメント>
清水先生のご指摘がありましたので、庭、余白についての作品になると思います。
この場合、余白に当たるのは白井晟一の建物になるので、それを余白と呼んでいいのか・・
日本での庭の考え方は借景という言葉に象徴されるように、あなたは一人ではない、私は一人では成り立たないといっています。
単純にホワイトキューブではないアールを持った壁の角度は、大きな山々にかこまれているようです。
さらに不本意な階段が受けになっているきがします。
それらをどこまでじぶんがみいだせるか、モノを置くことによってどれだけ余白に気づくことができるか。
写真のもののサイズは、h3m、w9m、d3m です。
2022年4月10日
祐成政徳
開催期間
2022年5月10日~2022年7月1日
休館日
日曜日・6月27日(月)
時間
10:00 〜 16:30
入場料
無料
会場
東京造形大学附属美術館、ZOKEIギャラリー、CSギャラリー、10号館CS-PLAZA吹き抜け空間内、10号館横芝生
会場住所
東京都八王子宇津貫町1556 東京造形大学<構内>