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学生・関係者の活動 詳細

「瞬く皮膚、死から発光する生」


 

中村綾緒
デザインII類 2000年度卒業


写真展「瞬く皮膚、死から発光する生」

2020年8月25日(火)~11月3日(火・祝)
足利市立美術館
tel 0284-43-3131


出品候補作家
石内都、大塚勉、今道子、髙﨑紗弥香、田附勝、中村綾緒、野村恵子、野口里佳

 命ある存在は、生と死の双方を絶えずかかえ込んでいます。日常の中ではおぼろげにしか実感されることがなく、しかし、人にとって決して目をそむけることができない「死」と、限りある時の中で輝きを放つ「生」を表現することは、芸術の普遍的なテーマの一つであり続けてきました。そうした芸術と触れることで、私たちは死をあらためて自覚しつつ、自身の生をたしかなものとして感じ取り、日々を生きる上で「命」とは何かを真に問う機会を得るのだといえるでしょう。
 現実の姿を露わに写し出すことができる写真も、人の生と死を普遍のテーマとしてきた側面があります。とりわけ、生の実感の希薄さが指摘される現代にあって、写真家はさまざまな主題や手法をもってこのテーマに取り組んでいます。
 死を前提にしてこそ輝く人の生。この、死と生を分け隔てることなくかかえ込む命の発光を、写真はいかにして表すか。この展覧会では「皮膚」を、生と死を包み込む命そのものの現れとして捉え、8名の写真家の作品を通して命のあり方を考えていきます。
 そもそも皮膚とは何か。すべての人は皮膚で包まれ生を得ていますが、それは臓器を覆うだけではなく、人としての存在そのものを含んで成り立たせ、現実の世界との境界にもなっています。私たちと世界とを隔て、互いの存在を成立させる、命の現れとして皮膚。それは、写真にとってどのようなものなのか。また、皮膚のような写真とはいかにして成り立ち得るのか。
 写真では、向かい合った光景や人物、あるいは光や空気などの撮られる対象は、画像として記録されるだけではなく、写真家の意識の内にある無数の記憶、思考や感情、身体のさまざまな感覚など、自身のリアルな生がそこに反映され、そこにはもう一つの現実を見出すことができます。写真家が内蔵するさまざまなものと、撮られる現実の世界は、あたかも身体が呼吸するような緊密なやり取りの中で結ばれ、撮る側の命そのものが写真に姿を変えて現実の場に立ち現れるのです。それゆえに、その境界に姿を表す写真は、人と世界とを隔て両者を成り立たせる、命の現れとしての皮膚にたとえることもできるでしょう。
 また一面では、元来写真に使われてきた「フィルム(film)」の語源は、中世英語で皮膚や薄い皮、膜の意をもつ「filmen」であると言われており、そこには、写真と皮膚の原初的な関わりが見られます。さらに、移り変わる時間を切り取って残し留める写真と、生涯変化し続ける私たちの皮膚は、ともに「時間」という存在を宿す膜としても捉えられます。
 では、写真は皮膚をどのように表し、生と死に迫ることができるのか。写真家は、各々の主題を写真のかたちとして実現する意志をもとにして、常に制作にあたっています。その中で、自身を含む命の在り方をつき詰め、そこで出た答えを他者に問うために写真がつくられるとすれば、それは、自己から引き剝されて普遍化し、現実の世界に自立する、もう一つの皮膚でもあります。皮膚は温度を宿す膜でもありますが、熱量を持つその表面は、生と死を同時にかかえ込むことで、漆黒と輝きを渾然一体に内在させ、観る者の心を強くとらえて離しません。
 世界の中に皮膚としての写真を立ち上げ、人の命の在り方を問うこと。そうした意志をもとに撮られた写真は、それ自体が皮膚の温度と一つの人格をもって、世界の中で瞬いています。そして、生と死を一体として見つめる皮膚=写真を通して、烈しく発光する生の姿が私たちに迫ってくるのです。


開催期間

2020年8月25日~2020年11月3日


休館日

月曜日


時間

10:00~18:00


入場料

一般710円/高校生・大学生500円/中学生以下無料


会場

足利市美術館


会場住所

足利市通2-14-7


関連Webサイト

http://www.watv.ne.jp/~ashi-bi/
http://www.nakamuraayao.com/