光ノ漂着

中里和人
写真専攻領域 教授
日本列島は太平洋、東シナ海、日本海、オホーツク海に周囲を包まれている。その海には、黒潮、親潮、対馬海流、リマン海流などの暖流や寒流が流れ、潮流に乗って様々な物が漂流してくる。
海岸線に流れ着いた漂着物を拾い、現場の壁で拾った物を幻燈投影させ、その光の像を撮影したシリーズである。拾い集めた物は幻燈機の暗箱に入る手のひらサイズの小さなオブジェクトで、現代の地球の暮らしを反映させる人工物に限った。
海流は我々の祖先が舟でこの島に渡ってきた海道でもある。日本列島に住み着いた人はその後長い間、海のハテに懐かしさとカミが訪れるかもしれない予兆を感じながら暮らしてきた。
海岸で拾いあげた漂着物は、波や太陽光に晒され本来の名前や形を無くしかけていた。そのモノが闇の中に投影されると、スクリーンになったコンクリや鉄など壁面素材と漂着物の素材が混じり合って、二つの物が持つ時間と空間が溶け出だした。
光のイメージに変容した漂着物は幻視画となり、海のハテからやって来た来迎神のように、光りの祈りを放出していた。
開催期間
2020年6月8日~2020年6月27日
休館日
日曜休み
時間
10:00 ~19:00(最終日は17時まで)
入場料
無料
会場
巷房(こうぼう)
会場住所
中央区銀座1-9-8 奥野ビル地下