「 空白のひかりに浸す ー潜像ー光のあとさき 」展

鈴木 知佳
大学院美術研究領域 2008年度修了
他、1名
鈴木 のぞみ(絵画専攻/2006年度卒業)
『 空 白 の ひ か り に 浸 す ―潜像―光のあとさき 』展は、会場となる関井記念館の記憶に触れる身振りとして、写真を映すこと、みること、残すことを通し、 「それがかつては在った」 と、 「これはやがて失われるだろう」 のあいだに立ち現れる 「いま」 にとどまり続けようとする作品に焦点を当てた展覧会です。
鈴木のぞみは印画紙に換え、失われているもの (写真の抜け落ちた額、外れた窓、割れた食器) 自体に、直接、写真を焼き付けます。本来被写体として写されるはずのそれらのものに、それらがみていたであろう風景が写しだされることで、写真は身体を持った触れられる存在となり、再び現在の時間の内に呼び戻されてゆきます。鈴木知佳は失われているものを透明な樹脂で象り、写真に映し込むことで、不在の風景を現出させます。
写真は常に過去のある瞬間、すなわち、その後に私たちが現在において眺めるような瞬間を捉えるといわれています。写真をみるということは、時の過ぎ去り、自体を目撃することであり、被写体となったものが、既に失われていながら、たしかに目の前に現れているという矛盾を引き受けることであると。写真をそのような地平から眺めるとき、鈴木のぞみの作品は、忘れないようにと写された写真の内で失われつつも生き続ける像に壊れた身体をあたえることで、もう一度、失おうとしているかのようにもみえます。また、現在、空白であるはずの場が透明に満たされ写真に映し込まれてゆく鈴木知佳の作品は、「不在」を失いつつも「不在」を露にしているようです。
両者の作品に共通する、被写体を二重に失うことで、最期に残る、たしかにいま失ってゆく、という感覚。存在することの 「いま」 を問う眼差しをご覧ください。
開催期間
2011年11月18日~2011年12月11日
休館日
会期中 金・土・日のみの開館となります。
時間
12:00-19:00
入場料
入場無料
会場
関井記念館
会場住所
さいたま市浦和区岸町5-1-18 関井記念館