佐野陽一展「眩耀」

佐野陽一
デザインII類 1993年度卒業
目では感じることが限定された「眩しさ」は、カメラの中ではさまざなな光の表情として写り込んでいるといいます。この表情を記録したイメージは、私たちに見るということ、そして目に映る景色について改めて感じ、考えさせてくれます。
本展では、佐野陽一が学生時代から頻繁に訪れている上高地で、朝方の時間帯に逆光に近い状態で撮影したイメージを中心に展示いたします。光に導かれるよう気の向くままフレーミングしているようで、実は自然があるがままの姿を示そうとしているようにも感じられると佐野は話します。「世界を知覚する手がかりとしての写真」をテーマにしたピンホールの手法による作品をどうぞご高覧ください。
展覧会について 岡村多佳夫(美術評論家)
木々の枝の間から差し込む光、それらはさまざまな表情を見せる。そしてさまざまな響きを奏でる。ときには優しく、あるいは猥雑に、ときには激しく、ときには狂おしく、そして蠱惑的に。もちろん、それらを見、聞き、思考する以前に、何にも代え難い、名状し難い感覚が訪れる時がある。
おそらく、この感覚と思考を瞬時に一体化させ、新たな音を紡ぎだす能力に、佐野陽一は長けているのだろう。密やかな力強さを持ち合わせている彼の写真の魅力の一つはそこにある。彼方にある世界、それを明らかにする光。移ろいゆくその光はまた、移ろいゆく空気をも暴き出す。それに触れた時の一瞬の眩暈(めまい)。それらもまた彼の表現の中に表される。それは、かつてあった彼の感覚と、目ではあるが、現在と結ばれて新たな意味と、世界を獲得していく。
人は誕生して目を開けた時、何も知らず、何も考えず、まばゆい光の中に投げ出される。まばゆいという言葉も知らずに。彼の目はその無垢な状態に近くあるようなのかもしれない。
開催期間
2017年3月30日~2017年4月24日
休館日
期間中の水曜・日曜・祝日は休廊
時間
12:00-19:00 (最終日は17時まで)
入場料
無料
会場
GALLERY TAGA2
会場住所
東京都世田谷区祖師谷1-34-2