E!x:創造する相同

矢木奏
美術I類 1998年度卒業
エウレカ・プロジェクトは、複数の分野を横断する思考様式「内部観測」について議論する場として、専門分野の異なる5人の研究者(哲学、社会学、経営学、数理科学、物理学)によって2014年にスタートしました。プロジェクトの活動の中心として、2014年6月よりWebマガジン『E!』を季刊で発行し、異なる立場から「内部観測」の解釈・解説を試みてきました。本展『E!x:創造する相同』では『E!』8号(2016年4月公開)の連動企画として展覧会という場を設け、実世界と誌面の両方を行き来しながら、内部観測の具体的なケースとしての芸術分野の表現をとりあげます。展覧会の場では、これまでにウェブマガジン『E!』で公開されたテキストを受けてアーティストが制作した新作の発表を行い、誌面では展覧会や観劇の鑑賞体験を受けて執筆陣が執筆したテキストを掲載します。アーティストと人文/自然科学に従事する/興味を抱く者のそれぞれが、異なる地平に立つことを自覚しながらも互いの創造に敬意と共感をおぼえながら自身の創造を拡張する機会になることを願っています。
※「内部観測」とは1980年代後半、物理学者の松野孝一郎(長岡科学技術大学名誉教授)が提唱し、理論生命科学者の郡司ペギオ幸夫(早稲田大学教授)が発展させた、日本発の思考様式です。「内部観測」は自然科学の手法であると同時に、現代の思想(ポスト構造主義など)に接続した議論が可能であり、郡司らにより実際に展開されました。松野によると「物質世界内にあってそれぞれが相互作用するとは、その相手が何であるかの同定が先ず前提となる。相互作用には同定、識別という行為が必ず付随する。内部観測とは相互作用に不可避となる同定、識別行為を指す」となります。
通常の科学では、対象の観測や理論を構築する者(通常は科学者)は対象や理論とは一線を画した特権的な立場に立つことになります。いわばこれまでの通常の科学は「外部観測」的であり、その意味において「内部観測」は「通常の科学」の対案の1つです。
開催期間
2016年2月19日~2016年2月28日
休館日
月〜木(金・土・日のみの開廊)
時間
12:00〜20:00
入場料
無料(イベントは有料)
会場
ネフロック大岡山1F
会場住所
大田区北千束3-35-5
関連Webサイト
http://eurekaproject-ex.tumblr.com/about
http://www.eureka-project.jp