2017年度 ZOKEI賞について
2017年度ZOKEI賞受賞者は、以下のとおり決定いたしました。
受賞者には、別途通知いたします。
学部(29作品)
専攻 | 学籍番号 | 氏名 |
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グラフィックデザイン | 11401031 | 久保 仁 |
グラフィックデザイン | 11401043 | 佐藤 由貴 |
グラフィックデザイン | 11401056 | 竹井 晴日 |
グラフィックデザイン | 11401057 | 竹尾 天輝子 |
グラフィックデザイン | 11401075 | 日高 基 |
グラフィックデザイン | 11401087 | 三國 玲衣奈 |
写真 | 11402013 | 久光 菜津美 |
写真 | 11402015 | 増田 連三 |
映画 | 11403010 | 金子 穂奈美 |
映画 | 11403013 | 北 桃子 |
アニメーション | 11404016 | 坂本 奈央 |
11404017 | 佐藤 愛梨 | |
アニメーション | 11404034 | 平松 桃 |
アニメーション | 11404036 | 藤井 周平 |
メディアデザイン | 11405001 | 新井 翼 |
メディアデザイン | 11405013 | 小出 瑞穂 |
室内建築 | 11406015 | 田中 俊平 |
室内建築 | 11406901 | プー ソティアロット |
インダストリアルデザイン | 11407014 | 川淵 ふきの |
インダストリアルデザイン | 11407015 | 木倉谷 伸之 |
インダストリアルデザイン | 11407901 | 吉田 光輝 |
テキスタイルデザイン | 11408001 | 一松 岳 |
テキスタイルデザイン | 11408019 | 平塚 千寛 |
絵画 | 11421020 | 河合 美咲 |
絵画 | 11421022 | 川上 喜朗 |
絵画 | 11421033 | 佐々木 翔汰 |
絵画 | 11421052 | 玉ノ井 友季子 |
絵画 | 11421056 | 長嶺 高文 |
彫刻 | 11422011 | 中村 未有 |
彫刻 | 11422801 | 横内 悠貴 |
2017年度ZOKEI賞審査委員会委員長 井原 浩子
東京造形大学 学長 山際 康之
大学院(7作品)
修士論文・修士制作(7作品)
研究領域 | 学籍番号 | 氏名 |
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デザイン | 21651002 | 池田 さやか |
デザイン | 21651004 | 鵜飼 甘菜 |
デザイン | 21651023 | 陳 哲 |
美術 | 21652005 | 佐野 笑子 |
美術 | 21652006 | 菅原 玄奨 |
美術 | 21652008 | 張 巧君 |
造形教育 | 21653005 | 西 かおり |
推薦理由
21651002 池田 さやか(デザイン研究領域)
「CMF デザイン手法の解明-オノマトペと形-」 指導教員 森田 敏昭
オノマトペが持っている同文化圏の人々が共有できる感性的な概念。その概念が持つ感覚的な造形を導くために、CMFデザイン手法を用いてアクリル素材の表現を試行錯誤し基本となるデーターベースを作ることが出来た。その上で展開の可能性を具体的なモノとして提案できたことを非常に高く評価する。
21651004 鵜飼 甘菜(デザイン研究領域)
「柄がつくり出す服」 指導教員 鈴木 マサル
学部の時から継続して布にプリントされた柄と、それを服にした場合の関係性を研究している。自身の制作する服は単なる柄物の服と言うものではなく、柄が被服の形を決め、服の形状、表面変化が柄を補足して行く様な、サーフェイスデザインとファッションデザインとの関係性を力強く押し広げている。
元になったプリント生地のその力強いデザインと、その模様から生まれる衣服のフォルムのオリジナリティー、独自性を高く評価した。
21651023 陳 哲(デザイン研究領域)
「不思議なJAPAN」 指導教員 永井 裕明
当初のテーマは「イラストレーションの内容を引き出すBOOKデザインの研究」であったが、先ずは本質である内容に重点を置くことにした。チンさん(本人)が体験する様々な出来事を丹念に描き続けた。最終的に出来上がった本は内容も量も伝える力もある、ある意味[饒舌な]表現になったのではないかと思う。
一方、同じテーマではあるが全く逆のシンプルでシンボリックな表現にも挑戦した。とても、個性的で不思議なイラストレーションのポスターになった。
どちらの表現も表面的ではなく本人のフィルターを通した説得力のある表現になっている。今後、本人と日本の距離が近くなるに連れて興味も変化し、より新しいアプローチが出現するのではないかと期待している。
21652005 佐野 笑子(美術研究領域)
「STORY」 指導教員 高橋 淑人
佐野は個人的経験から来る、整理出来ない感情や想いなどを鮮やかな色彩や様々な像を使って独自の法則を駆使し制作した。 具体的には人や動植物を描きながら画面上での関係性や場所など画面の中に複数の次元を設定し、観る人がその場所を自由に行き来出来るような視線を誘導出来る絵画的な構造をつくった。
一つ間違えれば甘ったるい夢心地なメルヘンの世界の様だが、絵画としても画面の構造や関係性を丁寧に構成する事によりシャガールやルドンが成し得た様な不思議に独自のリアリティがある表現を掴んだのだと思う。
それらは内容的にも人間にとっての、ネガティブな想いとポジティブな想いを混在させながらもネガティブな経験も含めて世界を肯定し、ポジティブな表現へと転換した。それ故に精神的にも深さを持って画面を可能にしたのだと思う。
21652006 菅原 玄奨(美術研究領域)
「A MAN」 指導教員 保井 智貴
作者は彫刻における塑造表現を用いて、現代人に内在する感覚や佇まいについて検証してきた。彼の塑造は所謂近代的な触覚性を維持した塑造ではなく、高度な技術を用いて表面上のマチエールを消すことで、より空間性と時間性を強く意識させ、その作法は今後の人物塑造を拡張してくれる作品と言える。またその無機質な佇まいは、現代における社会性や人間性に対して多くの疑問と可能性を示唆しているようであり、作家として現代社会と対峙できるだけの十分な能力を感じさせるものである。
21652008 張 巧君(美術研究領域)
「寂静の楽園」 指導教員 木下 恵介
張巧君さんは「女性芸術における性別意識表現-線の使用から」をテーマに制作を続けている。自分あるいは友人を被写体に、自ら撮影した写真を元に刺繍やドローイング、スクラッチなど様々な線の表現を加えることで、孤独や重苦しさの束縛から解放される意識を表現する。現在のスクラッチによる線描は、引っ掻いた白い線と点が、身体から延び出し発光しているようにも、身体を包む繊細な糸のようにも見え、テーマと見事に一致した自然な表現に成功している。また、昨年12月に町田市立国際版画美術館で開催された全国大学版画展においては、版画学会会員の投票により決まる美術館収蔵賞を得票数第一位で受賞し、周囲の評価も高まってきている。大学院の2年間、試行錯誤を繰り返しながら、精力的に制作してきた前向きな姿勢が、今回のZOKEI賞受賞にも結びついたものと高く評価できる。
21653005 西 かおり(造形教育研究領域)
「人間形成において造形活動が及ぼす影響(アートを媒介とした場における対話の有効性について)」 指導教員 春日 明夫
先ず15万字以上、155ページという論文構成は力作である。このようなテーマの内容はよく見かけるが、本論の「対話や場づくりが造形活動の有効性をより導く手立てと成り得る」という仮説には独自性がある。さらにその仮説が保育や幼児教育の現場の造形活動の実践結果から分析、考察され、そこから結論を導き出したことに信憑性があり、大いに評価できる点である。
東京造形大学大学院研究科長 春日 明夫
東京造形大学 学長 山際 康之