Home > 室建を支える人々 > 金谷光高
非常勤教員
1978〜1990
山形県出身
商工美術株式会社入社 :企画デザイン部部長
環境計画 DEPLA 設立:代表
東京造形大学造形学部室内建築学科講師
1980~1990
国立科学博物館理工系館展示デザイン
北海道博覧会 施設計画 デザイン・ディレクション
銀座和光ショーウィンドウ デザイン・ディレクション
日産自動車 東京国際モーターショーデザイン・ディレクション
京都府立京都文化博物館 デザイン・ディレクション
1990~2000
ブリジストン 本社環境計画 デザイン・ディレクション
東京都江戸東京博物館 デザイン・ディレクション
世田谷区立文学館 デザイン・ディレクション
国立民族博物館 情報・東・南アジア展示 デザイン
青森三沢市 寺山修司記念館 デザイン参画
沖縄県立総合博物館 企画ディレクション参画
労働省働く女性の歴史と未来館 デザイン・ディレクション
凸版印刷 印刷博物館 デザイン・ディレクション
2000~2010
岐阜県飛騨世界生活文化センター デザイン・ディレクション
コナミ企業歴史資料館 デザイン・ディレクション
韓国電力公社 原子力・エネルギー広報館 ディレクション
NISSAN・テクニカルセンター ディレクション
銀座・WAKO-銀座新店 VMD 及び施設計画 ディレクション
韓国電力江南ビルインテリア・デザイン・ディレクション
HERENDO 青山店インテリア・デザイン・ディレクション
2010~
UAE-RP Museum 全体計画デザイン・ディレクション
銀座・WAKO-SEIKO屋外塔屋サイン計画
勝井三雄氏-DNP-銀座GGG個展展示デザイン・ディレクション
1990~
日本ディスプレイデザイン年賞 /最優秀賞・優秀賞・奨励賞
朝日新聞社賞・通産大臣賞・日本経済新聞社賞・SDA賞・東京都知事賞 他
大学で講義をするようになって20年程経過しています。考えてみるとこの数年に入学した学生の皆さんが産声をあげた頃に私もこの大学で第一声を発したことになります。時代も変化し私自身もかなり経年変化しました。ただ、講義で話している主旨と方向性は何ら変わっていません。それは、私自身の拠り所でもあり大げさに言えば哲学でもあるからです。しかしこの数年、学生諸君の微妙な変化を感じています。その変化にどう向き合うか少し最近考え悩んでいます。どこがどのように変わったのかを具体的に言葉にできればスッキリするのかもしれませんが...言葉にできない歯痒さを感じています。この20年近くの間で社会環境も生活環境も激変していることから考えればその変化は当然なのかもしれません。連続するモノと不連続なコトが同居する時代で自分の進むべき道や目標に照準を合わせ行動することは簡単なことではないのも確かです。学生諸君によく講義内で話すのは同じ悩むのでも情報や知識・経験の少ない中で悩むよりは少しでも本を読み、人と接し自ら飛び込んで経験や体験の機会を多くすることで迷いや悩みの解決方法が見つかりやすくなるのでは....と話すのですが。考えることも大切ですが同時に行動し自分を積極的に表現することも大切です。造形大学はそうした表現環境の整った大学だと思います。教職員や施設・設備をもっともっと活用して表現し行動に移すべきだと思います。 私も現在の変化の中で悩みながらも行動しようと考えています。変化のエネルギーはクリエイティブの原動力だからです。
30年近く空間デザインの世界で活動して来ましたが、最初からこの世界での仕事を志して飛び込んだわけではなく漠然と何となくデザインと言う制作環境で仕事をしたかったと言うのが正直な気持ちでした。そんなわけで学内でよく3・4年生に進路や就職の相談を受けるのですが、適切で明快な対応に困っています。しかし何時も決まって話すのは「継続こそ力......」と苦し紛れの助言をするのですが、まんざら間違いではなくマトを得たアドバイスではないかと私は思っています。やりたいことを続けることこそ自分の希望に近づく最良の方策だと考えているからです。これまで空間デザインや博物館計画と言う専門分野で数多くのプロジェクトに参加して来ましたが、私自身博物館計画で特に執着するのはデザイン構築の論理性が表現の可能性を大きく広げると言うことなのです。デザインの世界は感性やインスピレーションももちろん大切ですが私は情報や資料の分析と解釈、そしてロジック(論理性)の構築が最も大切だと考えています。近年、日本国内での博物館計画も少なくなって海外でのプロジェクトに参加する機会が増えています。韓国や中国、そしてUAEとアジアが活動の全域になって来ています。ネット環境の拡大で益々その活動領域は広がっています。学生諸君に助言しますが英語はこれからの社会で仕事するうえで必須です。少なくても自分の作品のプレゼンテーションぐらいは訪問先の言語で紹介出来るようにすべきです。この14〜5年ほど韓国との仕事が続き多少勉強したこともありますがハングルは日常会話程度なら出来るようになりました。まさか20年前にハングルや英語でデザインのやり取りすることになるとは考えてもいませんでした。社会環境もグローバル化していますがクリエィティブの世界も日本国内に留まりません。活躍のフィールドは世界です。自分の夢や意志を強い気持ちで“継続”し、論理的に社会や生活環境を分析し広い視野で世界を見つめることが求められていると感じます。
UAE.ラスアルハイム:Pearl Museum 韓国.Shingori:Energy Park Museum
NISSAN.FQC Visitors Hall
講義は通年でカリキュラム構成し前期は基礎、後期は応用と分かれています。前期は身近な空間デザインとしてウインド・ディスプレイ、それに商空間やコマーシャル空間を中心課題にしてその制作過程を実習します。モティ−フ・ モティベーション(素材と動機)の発見からストーリーとテーマ(物語と主題)を文章表現によって具現化とビジュアル化し、さらに対象のシンボライズとコンポジション(演出と構成)を実際に実技課題で表現しながら空間デザインを体験してもらいます。前期の論理的デザイン構築を基本にして後期はその応用実習としてグループによる空間企画計画をすすめていきます。仮想空間をグループごとにテーマを設定し企画書を準備し、空間の設計図を学生自身で作図し空間模型まで制作します。この講義の大きな狙いは複数の人達とディスカッション(討論)しながらデザインをまとめあげていくことです。自分の意見を自分の言葉で発表し他者の意見も聞きながら総合的に内容や企画をまとめて行く「コミュニケーション」が最も重要なクりエイティブと考えた講義です。日常、友人や仲間と話すことは比較的容易でも、あるテーマに対して自分自身の考えを他者と議論することはそう簡単なことではありません。どちらかと言うと苦手な学生が多いのに驚きます。誰でもがでもができる最も簡単で力強い自己表現が「話す」ことなのです。そして最も効果的な自己表現方法でありクりエイティブ行為なのです。
講義内で必ず紹介する書籍で学生時代に一度は手に取って読んで欲しいと言う思いから紹介しています。私自身も大きな影響と感動を受け仕事にも生き方にも多いにヒントや力を得た本だからです。
1)陰影礼賛 2)魯山人味道 3)隠れた秩序 4)パリの奇跡 美大に入学した以上はこれらの本は読んで欲しいと思います。<谷崎潤一郎-陰影礼賛>は日本住宅の照明の本質を知り日本文化の源流を理解出来ると思います。<北大路魯山人-魯山人味道>は“こだわり”の気持ちを大切に持って欲しいと言う思いから薦めています。一緒に<魯山人陶説>も紹介しています。モノづくりをする者にとって “こだわり”は大切な心の砦です。魯山人の料理に対するこだわりをこの本は徹底して教えてくれます。<芦原義信-隠れた秩序>は建築を分かりやすくしかも興味深く日本の伝統建築から西洋の教会建築・都市計画まで平易な言葉で建築入門書として紹介しています。この本の中で紹介されている<地と図><グランドとフィギュアー>や陰と陽、内容と形式、外部と内部など対象を見る時の1つのヒントを与えてくれる本です。<芦原義信-町並みの美学>も一緒に紹介しています。<松葉一清-パリの奇跡>は隠れた情報や優しい視点が都市計画と言うような大きなスケールのデザイン計画をも左右する事例を紹介しています。新凱旋門の設計競技当選秘話で紹介されている建築家オット・スプレッケルセンの105mと6°のコンセプトはまさに都市に隠された情報の発掘と氏の眼差しがデザインの鍵になっているのです。他にも講義内で色々と本は紹介していますが......続きは講義で!