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学生・関係者の活動 詳細

Waste Park


 
地図上のマーカーの位置は実際の住所とずれる場合があります。

出展者

赤石隆明
大学院美術研究領域 2010年度修了


G/P gallery では、赤石隆明の個展「Waste Park」を開催いたします。
第39回木村伊兵衛写真賞(2014年)のノミネートや「あいちトリエナーレ2016」の参加で注目を集めてきた赤石は、従来の写真造形におけるレイヤーという発想に留まらず、物質の領域に侵犯をくわだて、写真というメディアに対して挑戦的に取り組んでいる作家の一人です。写真を媒材に自身の作品を次々とアップデートしていく作風で知られています。

初期の頃より、写真を立体や展示空間へと展開させ、友人の作品を自作に取り込むほか、2015年の個展「UBRM#000.**」では、2人の友人に依頼した自身の写真集「UNBROKEN ROOM」(2013年)の模写をカメラで再撮し、写真作品として展示するなど、イメージの組み合わせや結びつき、そして自他との関係性を問うような作品を発表してきました。

本展では、2010年より始めたプロジェクト「Waste Park」が俯瞰できるような展示構成となっています。「Waste Park」は、友人よりプレゼントされた赤い石(パワースートン)を起点に、写真、立体、パフォーマンスなどジャンルを問わず作り出したイメージの変換を繰り返すことで、自作をアップデートし続ける試みです。パワーストーンの形を模造した多面体のコンクリートの塊を展示し破壊するというパフォーマンス(2011年)、これらの記録写真を転写した布で大量生産したクッション(2012年〜)、多面体の組み合わせを数パターン撮影し、ストレッチフィルムにプロジェクションした100以上のバリエーションからなる「Flimsy Stele」(2015年〜)にみられるように、作家の制作環境や条件に左右されながらも形態を変化させ、執拗な反覆によって増殖を持続させています。「あいちにトリエナーレ2016」で発表したインスターレションでは、2メートルにもおよぶ巨大なクッションへと変貌と遂げており、同作を発展させた新作も展示予定です。ぜひこの機会にご高覧ください。

<エッセイ>
赤石隆明の写真における持続性と社会性
大森俊克(美術批評)

 赤石隆明は、東京造形大学に在学中の初期から、佐内正史や牛腸茂雄の影響を受けつつ写真に取り組んできた。いっぽうで赤石は、ときに写真の平面部分を立体として強調するような作品をつくり、あるいは第三者に写真を模写してもらい、さらにそれらをインスタレーション化・再撮影することでイメージを増幅させていく。その手つきはコンセプチュアルでありつつ、ひたすら実践的だ。差し当たっていえるのは、彼の表現は、モバイル端末の普及が記憶や視覚環境にもたらす影響、他者との協働、芸術の制度的な構造や流通といった事象を背景とする、たえまない実践であるということだ。では、その実践における――写真を媒介項としてあつかうことでの――イメージから空間への推移(transit)は、なにを意味しているだろうか。

 アーティストのヒト・スタヤルは近年の写真論で、イメージから現実空間への「推移(transition)」への欲求というものが、冷戦以降の資本主義社会の「本源的蓄積」のプロセスと関係していたと述べている。ありていにいえば、それは抑圧からの解放や労働組合の強化を目指していた1980年代までの政治的な気運が去って、フリーランス指向の「プロジェクト」的な労働形態へと社会が移り変わっていったことを指している。プロジェクトからプロジェクトへと渡り歩く、いわば「コネクショニストの世界」(シャペロ/ボルタンスキー)と呼ばれる不安定な(precarious)現代人の労働社会。それに拍車をかけたのが、90年代以降のインターネットの爆発的な普及であったのは言うまでもない。こうした社会環境は「認知労働型」と形容されるが、それはどこかアーティストの活動を思わせるものだ。すなわち、いくつもの展覧会やアート・プロジェクトに参加しながら、その断続的な積み重ねをキャリアへとつなげていくアーティスト(または写真家)のスタンスは、現代社会における雇用や労働の流動性と本質的に似たところがある。

 赤石の炯眼であるのは、彼がこうした冷戦以降の社会における労働、人間関係、視覚文化の変節を、表面的なコンセプトを介さずに、ひたすら実践(自作の多重的な模写/撮影によるアップデート)をくり返しながら暴いているということだ。例えば赤石は、自身の写真作品(あるいは、その再撮影)のイメージをプリントした布地からつくったクッションを、展覧会で発表する。これらのクッションはそれ自体である種の「写真」であるが、会期を終えるとアーティストのアトリエや自室に返送され、蓄積されていく。赤石は、これらを(スペースの問題から)布団圧縮袋に密閉保存したり、天井から吊り下げたり、一部を友人に送ったりする。さらに彼は、これらの物塊をあらたに――ただし、記録としてではなく審美性を考慮しつつ――撮影する。それによって赤石は、今日の認知資本主義に隠された労働の本質的問題や、イメージと現実の相剋する関係を切り取っているかのようだ(写真の流通や運搬を直接的にテーマとする点で、ワリード・ベシュティにも大きく共通する点がある)。

 赤石の活動でさらなる興味深い点は、それがある時点から「石」のアレゴリカルな意味と、その形態をもとに展開してきたということだ。友人からもらった偽物の赤いパワーストーン(=石)に自身の苗字との偶然のつながりを見出した赤石は、それを砕いた形状に基づいて、コンクリートを用いた立体物をつくった。このコンクリート作品を破壊するプロセスの記録映像がさらなる写真作品へと発展するわけだが、赤石は引き続く活動の「布石」を打つために、その形状を「布」=クッションへと転化させた。ここで重要なのは、「石」は組成の上で「液体」から限りなく遠い物質であるということだ。このことはまさに、ジェフ・ウォールが論考「写真と液体的知性」(1989)であつかったテーマである。ウォールいわく、アナログ写真のイメージには「計算不可能性」という特徴があり、これは現像液という「液体」の性状に起因している。いっぽうデジタル写真は、インクジェットという液状素材の技術が関与するものの、その流動性は(カメラのバッテリーに象徴されるように)あくまで「固形(乾燥した素材)」に基づいている。赤石は2011年の時点で、この非・液体的なデジタルの性質を、「石」というモチーフによって先見的に捉えていたことになる。

 本展で赤石は、1つの作品が別の作品へと転化するという自身の作風の持続性を、構造的に提示する。2016年の「あいちトリエンナーレ」に大型のクッション作品を出展した際、それらがコンクリートの粉塵で汚れたために洗濯機にかけた赤石は、洗濯後も粉塵が落ち切らなかった経緯を、本展のあらたな試みへとつなげた。ここでは、ウォールが指摘した、写真における「液体性」と「固形」の関係性が、洗濯と粉塵というメタファーを通じて、複雑に往還している。このように、写真のアナログとデジタルの本質を空間表現によって鋭く切り取る赤石は、今日の日本のアートシーンでもきわめて独自性の高い実践を続けているアーティスト/写真家であり、今後の活躍がもっとも期待される1人である。

<作家略歴>
赤石隆明
1985年、静岡県生まれ。東京造形大学大学院造形研究科美術研究領域修了。主な個展に「UBRM#000.**」(G/P gallery、東京、2015)、「UNBROKEN ROOM」(G/P gallery、東京、2013)、 「Hyperplasia」(G/P + g3/gallery、東京、2010)。主なグループ展に「あいちトリエンナーレ 2016 コラムプロジェクト トランスディメンションーイメージの未来形」(岡崎シビコ、愛知、 2016)「漂流 – 安部公房へのオマージュ/写真とヴォイアリズム」(G/Pgallery Shinonome、東京、2016)「漂流 – ミシェル・ウェルベック『地図と領土』と写真と」(G/P + g3/gallery、東京、 2014) 、「国立奥多摩美術館- 13日間のプレミアムな漂流展」(国立奥多摩美術館、 東京、2014)など。2013年に写真集『UNBROKEN ROOM』(artbeat publishers)を出版。2011年「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD」グランプリ、2010年「第 33 回キヤノン写真新世紀」佳作(佐内正史選)。シャーロット・コットン著『写真は魔術』(光村推古書院、2016)に紹介されるなど、国内外から注目される。


開催期間

2017年3月5日~2017年4月8日


休館日

月曜休日


時間

12:00~20:00


入場料

無料


会場

G/P gallery


会場住所

渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F 

地図上のマーカーの位置は実際の住所とずれる場合があります。


関連Webサイト

http://gptokyo.jp/archives/3693