2010年8月12日 カテゴリー:森岡祥倫
先日、大学説明会の仕事で札幌に行ってきました。ある美大受験予備校で、ビデオの上映を交えた短いレクチャーをしたのですけど、多摩美術大学、そして武蔵野美術大学の先生方の受験にかかわる大切な話しを何時間も聞いたあとなので、みんな疲れていたみたい。そこへまたわたしが入れ替わって・・・ちょっとかわいそう。絵を描いたりデザインをするって楽しいことのはずなんですけど、受験がからんでくると、そこかしこがギクシャクしてきます・・・心苦しいです。
まあ、それはそれとして、帰りの便までに時間があったので、北大植物園へ足をのばしました。札幌の市街地にありながら、訪れる機会をこれまで何度も逃していたのです。東京を発つときは炎天下の散策を覚悟しました。ところが、台風北上の影響で時おり霧雨が舞う曇り空の天気。しっとり濡れた草木の緑を、そのディテールまで観察する余裕さえ生まれて好都合でした。
園内の北方民族資料室では、偶然にも女子美術大学のヤマザキ・ミノリ先生ご夫妻と鉢合わせ。光を使った作品で知られるアーティスト、東京工芸大学時代の同僚です。ずいぶんご無沙汰していましたが、展示室でのほんのひとときのやりとりから、アイヌの文化に関心をお持ちと察しました。いつかまたどこかでゆっくりお話をうかがせてください。
この広大な植物園には、国の重要文化財にも指定されている明治期の開拓時代の建物など、興味深い歴史的施設が木々のまにまに点在します。今回、じっくり見学しながらその場でいろいろと思索したかったのは、「北方民族植物標本園」と温室のアナナス・コモスス科、つまりパイナップル科の植物の展示です。
外と内の区別がなくなった真夏の温室にて
(教員:森岡 祥倫)
2010年8月8日 カテゴリー:森岡祥倫
昨晩、秋葉原での買い物の帰り、京都時代からの知り合いで現在は大手のポータルサイトでWebデザイナーをしている山川京子さんと、新宿で久しぶりに夕食をとりながら歓談しました。同じ会社でシステム管理の仕事に就く青木さんという方が同席。早稲田大で経済を勉強したそうですが、いまはSEやデザイナーを取りまとめる大切な仕事を担当されています。2人とも同じ時期に入社した30歳代ということもあって話が弾みました。
ここでは、青木さんが個人的に運営しているアート・マネージメント関係のサイト「ヒトミテ 」を紹介しておきたいと思います。文系出身で、理系っぽい?お仕事で、なぜアート?・・・それはあまり問うても意味がないかな。
ヒトミテは、かなり広い意味でのアート・マネージメントにかかわる人たちへのインタビュー動画を配信するブログなのですが、◎現代美術館のHさんとか▲美術館のNさんとか□美術館のOさんというような国際級のキュレーター、あるいはプロデューサーのKさんとかSさんとか、そうした人はでてきません。美学や美術史や表象文化論で博士号もとっていないし、3カ国ぺらぺらでもないし、ましてアーティストでもないけど、普通にアートに関心があって(そういう普通の人、日本の人口の何パーセント?)、しかも他人にも好きになってもらおうという社会活動をしている、普通の人のアート・マネージメントの姿を紹介しています。青木さんのテイストなのかな?演劇関係が比較的多いようですが。
ぜひ見てあげてください。
とりあえずのおすすめは、犬島再発見の会・在本桂子さんへのインタビュー (2本あります)。普通のおばさん(失礼!)です。美術大学教員の立場から言わしてもらうと、定年までの同じ時間をかけて教育するなら、卒業30年後にこういう現代的なおばさんになる可能性のある学生を1000人育てた?接した?ほうが、1人の19~20世紀的なアーティストを自分のコピーとして世に送り出すより、はるかにこの社会と世界のためになるわな。でも、それが難しいことこのうえないのもよくわかってます。この人の場合、結局のところ福武さん(ベネッセCEO)が「犬島という学校」を使ってそれをやっている。
山川さんは、映画美学校の入学説明会に明日ご主人とでかけるとのこと。あの巨大ポータルサイトでしょ・・・仕事と両立できるのかしら?またあいましょう。
(教員:森岡 祥倫)
2010年8月5日 カテゴリー:森岡祥倫
信じられないような猛暑続きで、初夏に計画したいくつかの旅行もとりやめ、夏休みは自宅で資料や本、そしてあちこちのハードディスクに散らばった過去のデータ・ファイルの整理と決め込みました。
その古いファイルの中から、『アート&テクノロジーの歴史』という10年以上前の連載モノグラフを、専用のサイトをつくってuploadしはじめています。コイツはどんなものを書いてきてのか見てやろうという方は、どうぞクリックしてみてください。 ⇒Link
当初は、完結すれば400字詰め原稿用紙換算で2000枚ほど(古いなあ!こういうのレガシー・コードというそうです)、2~3巻本で出版という勢いで開始した長大な研究・執筆作業でした。で、結局のところライフワークにはなったものの、ひとえにわたしの怠惰で上梓は未遂に終わりました。あの頃は、自分の本をつくりよりもっと大切なことがいっぱいあったもの、面倒をみなきゃいけない学生がいっぱいいたもの・・・というのも口実のひとつにすぎません。
連載終了から今日までの長い時間のなかで、それでも暇を見つけてはポツリポツリと手を入れ、ある程度に完成度のあがったものだけを公開しはじめました。そうすることで、久しくストップしていた続編の執筆を再開する元気が出るかなと思ったのです。この10数年、前任校も含めて大学の仕事に追われ、あまりにも日々の暮らしが汲々とし、執筆の継続をすっかりあきらめていました。それに、こんな出版不況の時代、もうこんな大冊を引き受けてくれる出版社は現れないでしょうし。
でも、奇遇というものは突然目の前に現れる。昨年の秋、関西で開かれたある講演会(テーマはエコロジーとフード・アクティヴィズムと現代美術にかかわるもの)で、終了後にわたしに声をかけてきた若い男性がいました。あの連載の内容について微細な質問をはじめたのです。戦後アメリカ文化研究の研究者で、大学の非常勤講師をされているとのこと。そして彼がカバンからやおら取り出したものは・・・雑誌「インターコミュニケーション」からのコピーがきれいにファイルされ、しかもところどころに付箋紙が。驚きました。彼の質問に答えるためファイルを受け取ってページをめくりますが、その手は震え、涙さえ出そうになった。名前をたずねることも忘れるほど動揺していました。どなただったのでしょう。わたしの遠い過去の仕事は、若いあなたの今の仕事に役立ったのでしょうか。もしそうであれば、これほどうれしいことはありません。
自分自身とも他人とも特定できない、いわば非整数人称の「誰か」が、わたしの知らぬまにわたしに刻印した生涯の仕事。それが本当のライフワークだということを、このときふたたび思い知ったのです。それは、大学業界や産業社会で耳タコ!の、「専門性」やその焼き直しにすぎない「横断性」の類いの、自縛的な身元証明を能くする処世の手つきを、真っ向から否定する何かです。知識と言葉の出自にこだわる人間など、もうどうでもいい。問題は、まだ見ぬ他者への「友情の点呼」(ヘルダーリンの詩–>市村弘正)として、自分のテキストを機能させうるかどうかでしょう。テキストが社会化(流通とか評価ではなくて)するというのはそういうことです。だから、この研究だけは、どうしても完成させずに一生を終えるわけにいかない。
近々わたしのプロフィール・ページ からもリンクを張りますが、とりあえずは直リンク で。ご覧になるとおわかりの通り、まだ写真もほとんど入っておらず、棟上が終わったばかりの家というかんじです。建設資材は中古ですがある程度に補修はしてあります。すべてのuploadは夏の終わりかな。そして、新建材を足して続編を・・・。
ついでですが、このMDのサイトの開設時から、これまた延々と「準備中」になっていた『反食文化:FOOD+ART+SCIENCE』 と『My 20th. Century Museum』 の2つのエッセイ(前者は講義採録のりカバー)も、ゆるゆるとスタートの予定。今はまだWordPressの勉強を兼ねて器をつくりかけているだけです。よかったらこれもブックマークしておいてください。秋から掲載をはじめます、ゆるゆると。
来年度からはメディアデザイン専攻の新カリキュラムも動き出し、この2年余で現場の専任教員の義務と責任においてやれるだけのことはやった。だから、すこしだけ研究者としてのプロパーな場所に戻ります、すこしだけ。象の死に場所ですか。あと2年たらずで還暦だもの。
(教員:森岡 祥倫)
2010年7月28日 カテゴリー:授業関連 , 森岡祥倫
前期の課題提出作品の紹介、その2です。
2年生の「メディアデザイン基礎演習D」の3番目の課題「BOOK」。
ページめくりの効果をもった、いわゆる電子書籍です。とはいっても、第2課題でActionscriptの初歩を勉強しはじめたばかりですから、この授業ではオープン・ソースのドキュメント・ローダーを利用させてもらっています。
詳細はこの課題作品集をARCHIVE2に収録するときに紹介しますが、非常に高機能で、ページものの電子出版で考えられるエディトリアル・テクニックについては、およそ考えうるかぎりの機能をswfのエンジン部分とJavascriptが実現しており、ユーザーは自分のアイディアを簡単な記述規則にもとづいてxmlのファイルに表現するだけです。
画像をクリックすると、別ウィンドウで作品が表示されます。 ほとんどの作品には効果音や音楽などのサウンドがついています。学生はビジュアルとセットで選んでいますから聴いてあげてください。ビデオを表示するものもあります。
ただし、ファイルの軽量化を配慮していないために、ロードに若干時間を要する作品があります。お説教: Flash Lite 1.1の携帯待ちうけ課題であれほど言ったのに・・・webにのせるとこんなに重くなるのよ!制作途上のローカルではサクサク木村カエラでもwebでは高木ブー。だからFlashサイトは嫌われる。気をつけよう。
■ 新井 湖貴 Boys be ambitiou! ↑ 画像をクリック
■ 渡邉 真央 「きょうのごはん」 ↑ 画像をクリック
■ 米田貴行 Illution Book ↑ 画像をクリック
■ 豊田早織 『点』 ↑ 画像をクリック
提出されたファイルの整理がすみ次第、暫時追加します。
学生のほとんどが着目していろいろなアイデアを出しているのですけど、裏表の関係にあるページに、各々アルファチャンネルをもつpngの画像を設定すると、双方の透明部分の位置が重なっていた場合、あたかも紙に穴が開いたような効果が生じます。また、作品のいくつかにみるように、pngを片側だけに貼ると、物理世界の書籍ではありえないマジックのような現象がおきます。しかも、レイヤー関係の特異点に生じる特異な視覚効果が、ページめくりの動作結果とセットになっている。重要なのは、それで人を驚かせたり気をひくことではなくて、潜在的なメッセージを露にする仕掛けとしてどう使えるかということ。そのあたりに、ペーパーレスというわい弱な観念をこえた、デジタル書籍におけるグラフィックス(グラフィック・デザインでは断じてない!)、ないしはデジタル・グラマトロジーの本当の可能性が潜んでいるように思います。
授業の趣旨としては、電子出版における編集デザインの特殊性・潜在的な可能性を直感してもらうことと、後期からはじまる本格的なプログラミング学習の前哨として、Flashらしい「機能感覚」を味わってもらうことにあります。あまり難しいことは要求していません。
エディトリアルとプログラミングという2種類の設計行為が、職能的なフィールドは違っても類縁関係にあることを知るだけで、この課題での学習目標は達成されると考えます。
これがiPadに乗れば言うことなしですね。Appleは今年過去最大の収益をあげる勢いですから、そう簡単に折れてはくれないでしょうけど。それほどブランドを純粋培養したいのかしらん。もっとも、iPadを脱獄して無理やりFlash Playerを動かそうなどとするよりは、電子Bookの新しい規格、ePubの動きに乗ったほうが現実的ではあります。
(教員:森岡 祥倫)
2010年7月27日 カテゴリー:オープンキャンパス , 森岡祥倫
Google Earth自転車のもうひとつの記録です。
まだ決定ではありませんが、9月下旬に横浜で開かれるあるイベントに自転車をふたたび展示できるかもしれません。改良してより乗り心地のよいものにしたいと思っています。
(教員:森岡 祥倫)
2010年7月18日 カテゴリー:オープンキャンパス , 大学行事
撤収終わりました。
たくさんの皆さんのご来場、ご関心、ありがとうございました!
メディアデザイン専攻領域の学習内容がさまざまな既存デザイン領域(と多くの人が認識しているもの)とつながっていること、さらに、つながることで広がっていく可能性を実感していただけたことと思います。
すべての展示物の紹介ができなくてすみません。
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「ちょっと近所にお買い物に」でヒマラヤまでお出かけしてしまった四方先生。
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かなりハマって、何か企画を思いついた模様、の、八王子夢美術館の浅沼学芸員。
数年前まで4年間、八王子市のフラッグ・ギャラリー展でお世話になりました。
(フラッグ・ギャラリー展は1回休止後、今年度からはグラフィックデザイン専攻領域との共同事業として再スタートしました。)
一昨日金曜日にスタートした「押井守と映像の魔術師たち」の招待券をいただきましたよ。押井監督直々の監修企画展で監督こだわりの、かなりレアものが出ているそうですよ。
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こちらは今年度前期の留学生でグラフィックデザイン専攻領域に所属している、ロンドン在住香港人ジェニーさん。懐かしの香港市内を走り回ってかなりテンションあがってました。このほかMD専攻領域の展示に大興奮で、フラッシュアニメひとつとっても目キラキラして、こういう勉強したい!って言ってました。でもあと10日ほどで帰国してしまうようです。もっと早くに遊びにきてもらったら何か作って帰れたかもね。また会いましょうー。
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スタッフ学生たちも乗りこなしているうちに、いろいろと付加価値のアイデアが浮かんだ模様。
聞いて知ってるのと実際体験してみるのとでは大きくインパクトの違いがありますね。
MAKER魂発動、してくれるのを楽しみにしています。
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きりがないのでこのあたりで…。
(教員:粟野 由美)
カテゴリー:オープンキャンパス , 大学行事
速報…ってもう最終日の午後ですが。
展示は卒業研究作品を含む、1年次から4年次までの授業成果物のうち、視覚造形要素の大きいもの(PV演習、Flashアニメーション、パブリック・プロジェクションを想定した“環境”アニメーション、電子ブック、電子工作を介したフィジカル・コンピューティングなど)と、課外活動での応用作品で構成されています。
実際にはこうした目を引く“作品”作りだけでなく、実習や講義など素養を高め思考を開発する「橋渡し」的な授業をコヤシに4年次まで積み上げていく、ということは、入学して学習を始めたみなさんには理解されていることでしょう。
大学の面白さとは、そういう“姿かたちをすぐにはあらわさないもの”もたくさん吸収できること、にあるのかもしれません。
ではざっと会場の様子を写真でご覧にいれましょう。
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複数の人たちでの遠隔操作で温室内の環境を維持して植物を育てよう、という実験装置です。
このほかにも携帯電話からメールを送信して複数の人でアニメーション画面をつくっていく作品(卒業研究作品)などもあります。
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こちらは思に映像・アニメーション作品(配布DVDに収録)。
ウエブサイト設計作品も展示しています(オンラインで閲覧可)。
「ピッター&スイッター」http://ptsw.etowns.net/
「EHON プロジェクトβ」
http://creators.biglobe.ne.jp/arena/zoukei/ehon/index.html/
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こちらは今回のオープンキャンパス期間のみの展示。
たとえばグーグル・アースの中に実際の自転車で降り立って、世界各地を走り回ることができる、というもの。
初日は人気観光地巡りが人気でしたが、二日目はエアーズロックやナイアガラなどの過酷な山岳地形をバーチャルだからできる過激なパフォーマンスで走破していく、とか淡々と富士山をめざす、という場面が人気でした。
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写真がタテになってくれないので後で修正します。
これが校舎のいくつかの場所のいろんな材質のものを打つように設置されていて、白テントにあるコントローラーでポコポコ遠隔打。この場所は反響する建物に囲まれていて、結構いい響きです。
今回紹介していない展示物も後ほどフォローします。
(教員:粟野 由美)
2010年7月16日 カテゴリー:オープンキャンパス , 大学行事
いよいよ明日、もとい本日、あと8時間少々後に今年のオープンキャンパスが始まります。
昨日は9名の学生さんが設営に参加してくれて教員3名と総勢12名で展示室をおおむね形にしました。
前半の部にめどがつき、夕食タイムはすっかり夏、の夜の外気が気持ちよい、外で。
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後半の部は…ほぼ目処がついてから、今年の新作展示「Google Earthで家に帰ろう」の動作確認が試乗会になり、八王子からニューヨークやパリ、ベルリンなどにも行ってきましたよ。
片付いているほうの壁面だけお見せします。
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このほかにも遊べるデバイスがいろいろ。
在学生、卒業生、他専攻領域のみなさんも遊びにきてくださいね。
(教員:粟野 由美)
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