CSP1 - Amplitude 場への働きかけ-
2013.11.29 |金| - 12.8 |日|
会期中無休

会場|桑沢デザイン研究所1階
東京都渋谷区神南1-4-17
時間|10:00 - 20:00
※12.7|土|はイベント開催の為15:30閉場
主催|CSP (Creative Spiral Project)
共催|東京造形大学 附属美術館
協力|桑沢学園、桑沢デザイン研究所
東京造形大学CS-Lab

CSP1 - Amplitude 場への働きかけ -

会  期    2013年11月29日(金)ー12月8日(日)[会期中無休]
時  間    10:00 ~ 20:00 ※12月7日(土)はイベント開催の為、15:30閉場
会  場    桑沢デザイン研究所1階(東京都渋谷区神南1-4-17)
主  催    CSP(Creative Spiral Project)
出品作家   大畑周平、狩野哲郎、末永史尚、タノタイガ、辻直之、Mrs.Yuki(平嶺林太郎・大久保具視)

フライヤー・カタログデザイン   高田唯


CSP(Creative Spiral Project) について

2013年年から始まったCSP(Creative Spiral Project)は、新たな美術の動向へ向けた展示とシンポジウムの開催、そしてその記録化を継続的に行うことにより、それが美術と教育の場への新たな契機となり反映となることを目指しています。

その運営は、東京造形大学美術学科教員と卒業生である美術作家、そして学外のプレス・リエゾンオフィスらがチームを組み担っています。展示は、東京造形大学附属美術館主催の学外展示企画として、桑沢学園の支援を得て計画されます。
本学の教育活動の特性と外部で展開するアートシーンから展示のテーマを検討し、本学卒業生でその流れの中に作家性を築いた複数の作家を取り上げていきます。
展示とともに開催されるシンポジウムは、ゲストのモデレーターと出品者のパネリストにより、展示テーマを軸にした議論の場となるでしょう。
この展示とシンポジウムの記録は、写真とテキストの小冊子と、web上での英訳を付したデジタルデータとしての記録化を目指しています。

また、CSPにおける活動は3年間を目処にまとまった記録集の編纂を計画し、このCSPの活動を検証できる機会を持ち、美術と教育の場へ何らかの影響を問い続ける活動として発展していくことを目指します。

2013年9月 生嶋順理(東京造形大学教授)


「CSP1」に寄せて

もう随分長いこと、私たちはアポリアの渦中にあるように思われる。
そのアポリアとはリオタールが指摘した「大きな物語の終焉」そのものにあるのではなく、指針の喪失にある。 進歩思想を背景に更新し続ける点の連続が上昇を示す線的歴史観は、前進不能となり中心から周縁へ、一極から多極化へと、そして今はそれらの点が接続を断たれ浮遊、拡散している状態なのかも知れない。 美術においても、近代以降新たな様式と理念のアップデートを重ねてきたモダニズムはアポリアを生きることとなる。 なるほど人類共通の普遍を希求することの困難もまた自明ではある。 しかしポストモダンと名付けられた暫定的な時代区分が永続することもなく、次なるパラダイムに向けて、どこかではその準備はすすめられているに違いない。
美術は〈像〉、実体ではないものの側にあって、時に〈シミュラークル〉として世界の困難に立ち向かい真実と理想を追い求め、世界をそして歴史を形成してきたのである。
今、アートフェア等のマーケットを軸とするアートシーンは一見活況に見える、また目まぐるしく変転を繰り返す様相のリアクションとしての美術ジャーナリズムは今を映し、アートは限りなく観光やポピュラリティへの接近を見せている。 一方批評は硬直し現場を狭めているかのようである。
しかし、それらとは一線を画し美術大学には教育研究機関としての固有の使命があると考えられる。 「消費」「数」「今」との距離離を慎重に保ち、長い時間軸の設定のなか、新たな時代区分にむけて「本質」の開示へとむかうことが今もなお求められている筈である。
ひとつの解答として、東京造形大学美術学科、絵画、彫刻の2つの専攻は、合同プログラムとして卒業生の活動に照射し、展示と議論の場を形成、新たな指針を表象させる活動を始動させます。
このプロジェクト「CSP」は、本学の理念であるクリエーティブ・スパイラルから「CS」とプロジェクトの「P」を取り、本学姉妹校である桑沢デザイン研究所の展示スペースにて展示とシンポジウムを軸とするコロキウムを毎年開催、その記録化を目指します。その活動が新たな指標にむけた問題提起の場として繰り広げられていくことを大きく期待します。

第1回展は「CSP1 ― Amplitude ‒ 場への働きかけ」となります。 ここでの場とはSiteのみをさすのではなく、機会、可能性をも意味しています。 かつて造形大の旧絵画アトリエ内には極小ではあったが学生が自主企画運営する展示スペース「node」があり、絵画の学生だけではなく、彫刻をはじめ他専攻の更に他大学の学生の発表が展開されました。 そこには、現在国内外で活発に活動する作家の学生時代の作品と姿がありました。
本展出品者は、末永史尚、Mrs.Yuki(平嶺 林太郎・大久保 具視)、狩野哲郎、大畑周平、タノタイガ、辻直之の5作家+1ユニット(2作家)である。 彼らは積極的に〈場=機会〉を求め、自らの制作の軸と基盤を築いてきた点においても共有の特質を持っている。 その純粋視覚を越えた「食」「生物-生態系」「時間」などに対する眼差し、組み替えの、amplitude、幅と拡がりを持った活動は、今回の桑沢でのニュートラルティを持たない特殊な展示スペースへ働きかけ、美術のそして教育のありように多くの議論を提起する契機となることであろう。

2013年9月 母袋俊也(東京造形大学教授)