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長谷川教授の南イタリア研究会報告

本学の長谷川章教授(室内建築専攻領域)の南イタリア都市建築研修ツアーと学生有志の写真展の報告

毎年世界の魅力的な都市と建築を訪れる研修旅行を企画しています。
 →エジプト都市建築研修ツアー/2009年度
 →南インド都市建築研修ツアー/2008年度

今年は女子学生25名がツアーに参加し、シチリアと南イタリアの数々の集落を訪れて、人々が生活している空間を体験してきました。

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研修旅行は2010年2月23日から3月3日までの9日間にわたり行われました。最初に日本から直行便でローマまで行き乗り替えて、その夜にはシチリアのパレルモに到着しました。東京はまだ冬でしたがシチリアは気温20度ほどで初夏の気分です。こうして文化も風土も全く異なる国での研修が始まりました。

作品等画像 最初にパレルモを中心にシチリア島の山岳都市であるモンレアーレ、エンナ、ピアッツア・アルメリーナ、カルタジローネを訪れました。そのあと本土に移動し、プーリア州の白い小さな地中海型集落であるアルベロベッロ、ロコロトンド、チステルニーナ、オストゥーニを訪れました。その後山岳集落であり世界遺産でもあるマテーラ、廃墟の都市ポンペイを経てナポリへ向かいました。最後に地中海に面したアマルフィー海岸の断崖集落ポジターノ、アマルフィーを経てラヴェッロから地中海の大パノラマを満喫して研修旅行を終えました。毎日異なった種類の集落を訪れた今年の研修旅行では、学生たちが大学の教室では学べないような魅力的な世界に接することができました。


作品等画像 それでは幾つかの南イタリアの魅力的な都市や建築をご照会しましょう。最初に訪れたシチリアの王宮には12世紀の栄華を誇ったシチリア王国を象徴するパラティーナ礼拝堂を見学しました。ビザンチン文化を反映した内部の黄金に輝くモザイクに圧倒されました。


パレルモ郊外バゲーリアには18世紀に建てられた奇妙な別荘が沢山あります。その代表的なヴィラ・パラゴーニアを訪れました。奇妙な彫刻が庭のあちこちに認められるこの別荘の内部は鏡貼りで興味深いものでした。

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シチリアでは主に山岳都市の集落を訪れました。パレルモ郊外のモンレアーレには世界で最も美しいといわれる回廊を持つ大聖堂を訪れました。またピアッツア・アルメリーナやエンナという山岳都市では迷路のような街路を楽しみ、カルタジローネではスカーラと呼ばれる大階段が印象的でした。

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研修旅行のもう一つの醍醐味は食事です。石畳の中世の街を歩き疲れた学生を待っているのは美味しく楽しいイタリア料理です。前菜のパスタからデザートのお菓子まで食べ尽くしました。この後はホテルで死んだように眠り込んだようです。

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研修旅行の後半では地中海特有の白い集落を訪れました。今回は研修旅行ということもあり、一番特異な集落であるアルベロベッロではトゥルリと呼ばれる三角屋根の石造りのホテルに全員宿泊しました。

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このアルベロベッロを拠点に周辺の幾つかの白い集落を訪れました。ロコロトンドは畑の真中に真っ白な外観を呈していました。そして学生の中には家に上がってお茶を飲んできたものもいました。迷路のような街は次の訪れたオストゥーニも同様です。アーチの架かる路地を幾つも抜けて階段を降りて、身体で集落の空間を楽しみました。

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こうして白い街の見学を終えて研修旅行は最後にマテーラとポンペイを経てナポリへと向かいます。ここでは狭い港を囲むように絶壁に張りつくような集落を見ることができました。そのアマルフィーの街の大聖堂では、イスラムとヨーロッパ文明が融合した魅力的な建築を訪れることができました。

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短い期間でしたが、毎日異なった魅力的な集落を訪れた学生たちは南イタリアの都市と建築文化を満喫したようです。その感動を学生有志たちが写真展を通して研修旅行の成果として発表することになりました。
造形大学には学生の発表の場として12号館1階にギャラリーがあります。ここで2010年6月15日から19日まで南イタリア写真展が開催されました。自分たちで企画を立てて準備 して開催されたこの写真展では、研修旅行をもう一度検証して整理し第三者に説明するというデザインの基本を実践するということも意味します。学生たちはこうして教室での授業ばかりでなく研修旅行や展覧会などの行動知を通して大きく成長していきます。

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