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長谷川教授のインド研究会報告

本学の長谷川章教授(室内建築専攻領域)の
南インド都市建築研修ツアーと東京造形大学インド研究会活動報告

毎年アジアを中心に魅力的な都市と建築を訪れる研修旅行を企画しています。今年は他大学の学生を含めて30名がツアーに参加し、南インドの文化を丸ごと堪能してきました。



北緯15度に位置するため旅行に最適な真冬の2008年2月20日から27日の8日間、インドの南部のドラヴィダ文化圏に属するタミール・ナドゥー州に点在するヒンドゥー教寺院を訪れました。日本からはクアラルンプール経由で南インドのチェンナイに到着します。ここからバスで小さな村や都市の寺院を巡ります。チェンナイ、マハバリープラム、ティルヴァンナーマライ、チダンバラム、クンバーコナム、ティルヴァルール、ティルチラパッリ、マドライには世界遺産の寺院が聳え立っています。ヤシの木が群生する平原を毎日移動する、約400キロの巡礼の旅でした。



この地域の寺院は同心円状の曼陀羅の空間構成を形成しているのが特徴です。その門前市が寺院周囲をさらに取り巻き、それがそのまま都市になります。さらに興味深いのは林立する高さ60メートルに達する「ゴープラ」と呼ばれる塔門です。ここには無数の原色をしたヒンドゥー教の神様が彫り込まれています。



旅行中は都市や建築の見学ばかりでなく、毎日の旅そのものが異文化との感動的な出会いとなり、学生ばかりでなく私自身にとっても貴重な体験をすることができました。勿論毎日味わうカレーや果物、そしてヒンドゥー教の様々な神具であふれる門前市での買物ばかりでなく、女性の仕事として毎朝日の出とともに玄関や門の前にベンガル湾地方の「コーラム」という魔法陣を描くといった、人々の日常生活にも感動を覚えました。
寝る時間を惜しんでの研修旅行となりましたが、最後の夜行列車はまるで童心に返ったようにインド人と一緒に帰国の途につきました。



こうした研修旅行は学科や専攻や学年を越えて本学内に新たなネットワークを生み、学生有志が自ら“インド研究会”を発足させました。
最初に本学1号館にて「インド写真展」(2008年6月25日~7月1日)を開催。現地で買ったサリーなどが展示され、学生が描いたガーネシュとクリシュナの神が見守りました。また旅行中に現地の舞踏学校を訪れた学生は日本に帰国後インド舞踊に取り組み、「バラタナティアム」という南インド独特のヒンドゥー教の神の前で演じられる奉納舞を東京造形大学学生自主製作展「クリエイティヴ・スパイラル」(2008年9月20日~21日)で実演しました。



そしてこの秋には日本最大のインド文化交流イベント「ナマステ・インディア」(2008年9月27日~28日/代々木公園/主催:インド大使館 後援:外務省)が盛大に開催され、本学のインド研究会も参加出展しました。テントの正面にはゴープラ、入口にはガーネシュとクリシュナの神、そしてコーラムの模様があり、内部には金色のゴープラの模型と春の研修旅行の成果が人々を迎えました。


このイベントは今年で16回目となり出展ブースも百に上り毎年数十万人が訪れます。本学のブースにもインドに興味がある日本人ばかりでなく、タミール人などのインド人も多数訪れ、学生も英語を交えて文化交流の一役を担いました。
一つの研修旅行が契機となり、ここまで学生が自主的にその成果を発展させたことは、これからの大学生活におきて大きなプラスとなることでしょう。
長谷川 章(室内建築専攻領域 教授)

長谷川章教授プロフィール


【造形大学インド研究会】
畑瀬真理子(インダストリアルデザイン専攻領域2年)
奥田絵梨花(絵画専攻領域2年)
大野馨(彫刻専攻領域2年)
石丸暁子(室内建築専攻領域3年)
河村匡祐(室内建築専攻領域3年)
太田和美(室内建築専攻領域3年)
野原智博(室内建築専攻領域2年)
高橋真理奈(室内建築専攻領域2年)