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『ZOKEI教育展 和紙のはたらきかけ』を開催します

『ZOKEI教育展 和紙のはたらきかけ』ビジュアル 東京造形大学は2016年に創立50周年を迎えます。
そのプロローグとして昨年、本学の教育実践の一端を示す、ZOKEI教育展「ZOKEI DESIGN社会への照準」を開催し、そこで「本学のミッションは美術、デザインの新たな教育研究の実践のフィールドを開拓し、時代のフロンティアを目指す」ことであると標榜しました。それを継承する試みとして、今年度は「和紙のはたらきかけ」と題した展示・ワークショップ・トークセッションを開催します。
今回取り上げる和紙は、アートやデザインにおいては殊更に目新しい素材ではありません。特に環境に対する意識が高まってきた1980年代以降、木や紙を用いた表現は繰り返し検証されてきました。ただし、本展は「かつてあった自然への回帰」を求める志向とは異なる方向性を目指すものです。
近年、人間ではなくオブジェクトを中心に置いた新しい思考が盛んに議論されるようになってきました。それは、これまでの「人間が環境に働きかける」関係ではなく「オブジェクトが人間に働きかける」関係から考察をはじめるものです。こうしたオブジェクトに取り囲まれている私たちの環境を前提に考え始める必要があるとするものです。
和紙という素材はこれまで主に、伝統や歴史といった文脈や、自然との繋がりを中心に解釈されてきました。今回はそれらとは異なり、素材のもつセンシュアルな質感を基礎に置いています。触覚的にはたらきかけてくる和紙に接することから生れる表現や、素材が与える意味(アフォーダンス)が導く可能性などについて、協働作業や意見交換を通じて考察していきます。
今回の企画は小規模で実験的なものですが、本学の建学の精神である「デザインや美術の創作活動を時代の精神や社会の創造に深く結び付いたものとしてとらえ、それら造形活動を広く社会的な観点から探究し、進取の気概を持って創造的に実践する」ことを正面から見据えた試みです。本企画を通じて、さらに新たなる教育研究の実践への道を拓いていきたいと考えています。

会 期:2015年9月21日(月)、22日(火)、25日(金)、26日(土)
会 場:東京造形大学 ZOKEIギャラリー(大学院棟12号館1階)
時 間:10:00~17:30 ※入場は17:00まで

■ ワークショップ
和紙のアフォーダンスの発見
-あらたなデザインアプローチを求めて-

会場:ZOKEIギャラリーおよび大学院棟12号館エントランス
日時:9月25日(金) 14:00~16:00
ゲスト:角田陽太(デザイナー)
進行:玉田俊郎(東京造形大学教授、本展企画者)

玉田俊郎ゼミの学生たちが事前に行った調査・制作活動の成果を発表する場としての授業内ワークショップとなっております。
数種類の和紙を用いて、東京造形大学の内外で和紙と環境、和紙と建物、和紙とモノ、和紙と光、和紙と人間、和紙と微生物等とのオーバーラッピングを行い、そこから見えてくる、また和紙が働きかけるアフォーダンスをキャッチしていきます。一般の見学も受け付けます。見学費無料、事前の申し込みは不要です。


【ゲストプロフィール】

角田 陽太

1979年、仙台市生まれ。デザイナー。
2002年、東京造形大学卒業後渡英し、安積伸&朋子やロス・ラブグローブの事務所で経験を積む。2007年、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)デザインプロダクト学科を文化庁・新進芸術家海外留学制度の奨学生として修了。2008年に帰国後、無印良品のプロダクトデザイナーを経て、2011年YOTA KAKUDA DESIGN設立。

■トークセッション
和紙に転写された私史
-楕栽培から写真表現へ-

会場:ZOKEIギャラリー(大学院棟12号館1階)
日時:9月26日(土) 14:00~16:00
ゲスト:宮嶋康彦(写真家、作家、東京造形大学講師)
司会:中里和人(東京造形大学教授、本展企画者)

自ら楮(こうぞ)を栽培し、手漉き和紙にオリジナルプリント制作を行い、素材としての印画紙の特牲を十全に活かす表現を試みてこられた宮嶋康彦さん。アナログ的な手法や素材としての印画紙が減少していく中、和紙での写真表現の可能性や新たな記録性を、会場の展示作品を中心に語り合います。


【ゲストプロフィール】

宮嶋 康彦

1951年、長崎生まれ。写真家、作家、東京造形大学講師。
写真と詩、写真と小説、写真とノンフィクションなど、写真とあらゆる文芸を融合させることで、独自の表現形式を創出している。また印画紙には原料の楮(こうぞ)から育てた自らの手漉き和紙を使用。
1985年、ドキュメントファイル大賞受賞。著作には「母の気配」「汎自然」「水母音」「写真家の旅」「脱『風景写真』宣言」などがある。

○ハイブリッド授業「写真I」成果展&西村陽一郎展
デザイン学科、美術学科全ての学生が履修できるハイブリッド授業の成果展。デジタル機材を使った「スキャングラム」技法での和紙プリント展示。

【ゲストプロフィール】

西村 陽一郎

1967年東京生まれ。写真家。美学校、東京造形大学講師。
美学校で写真を学び、現在に至るまで多種多様なフォトグラム作品を制作し、その作品での第一人者。「ホタルとホタルイカ」マキイマサルファインアーツ、「道端の花」森岡書店、「身体のフォトグラム」禪フォトギャラリーなど写真展多数。著書に写真集「LIFE」がある。

○石田宗一郎展( 写真専攻4年)

主催 東京造形大学創立50周年記念事業委員会
共催 東京造形大学附属美術館
協力 東京造形大学校友会

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