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東京造形大学 創立50周年記念事業
「フィールドワークから考える 写真と映像を通じた社会連携、地域社会の記憶化」開催報告


東京造形大学 創立50周年記念事業、大学院Hachioji影絵プロジェクト、写真専攻共催企画の「フィールドワークから考える」が12月15日(月)~19日(金)、本学附属美術館において開催されました。
5日間の開催期間に、イベントだけでも延べ200名以上の方々にお越しいただきました。

12月15日「影絵公演と多摩・八王子地域の写し絵」大学院Hachioji影絵プロジェクト


今年度Hachioji影絵プロジェクトは、相模原市相原、宮城県石巻、岩手県陸前高田と公演ツアーを行い、今回がツアー最終公演でした。以前、影絵プロジェクトで地域連携の協力をしていただいた織物会社の岡村社長さんなど、多方面からの来場者がありましたが、なかでも相原公演を行った田通し町内会の親子連れがふたたび観に来てくださったことは、地域との交流の成果だと感じました。また、日本民俗学会会員で写し絵の研究者である神かほりさんをお招きし、多摩・八王子地域の写し絵についてお話しいただきました。写し絵が当時の世俗的な内容を扱っていたことなど、ディスカッションを交えながら貴重な講演となりました。

Hachioji影絵プロジェクト

12月16日「岩手県陸前高田市からの報告」


陸前高田ドキュメンタリー映画「あの街に桜が咲けば」の上映と、映画監督の小川光一さんの基調講演、パネルディスカッションを行いました。津波の到達地点に桜を植える活動を続けているNPO法人桜ライン311についてから、防災や減災につながる貴重なお話をうかがい、Hachioji影絵プロジェクトからは陸前高田での公演の様子についてもふれながら、いま私たちが震災から学ぶべきことを考えることができました。

岩手県陸前高田市からの報告

12月17日「八王子AKITENとオフ・ミュージアムのこれから」


写真専攻の研究指標科目であるエリアスタディプロジェクトでは、フィールドワークを基本に八王子市内で撮影を行いました。テーマは、各自が絵ハガキにしたい街の景観資源を発掘することで、その写真を市内の空きテナント(既成のギャラリーでないオフ・ミュージアム空間)でインスタレーション展示と同時に、地域の方々に写真ハガキに彩色してもらうワークショップも開催しました。この授業は地域社会の中での活動に重心を置き、市内空きテナントをアートギャラリーに変えるプロジェクト「AKITEN」と連携して、新しい街の魅力を発信しました。八王子市の市議でありNPO法人 AKITEN代表の及川賢一さん、藤井美術館長の博物館の授業を重ねた「八王子AKITENとオフ・ミュージアム」の展開についての講演とシンポジウムを開催し、地域社会の中で実践、研究成果を多角的、双方向的に検証できたイベントとなりました。

八王子AKITENとオフ・ミュージアムのこれから

12月18日「津久井アーカイブズプロジェクト写真展と報告、講演」


写真専攻の研究指標科目エリアスタディのもう一つの授業に、津久井アーカイブズプロジェクトがあります。この授業ではこれまで5年間に渡り相模原市津久井町に学生たちが通い、その町の様々な写真を記録し、アーカイブズ化しています。その成果発表として、これまでの写真展と同時に、相模原市博物館学芸員の守屋氏に津久井の古い写真やビデオでのレクチャー、地元の写真家の安川氏には古い集落スケッチを見せていただき、津久井の町の過去と現在を往還できるスライドトークショーを開催してもらいました。そこでは、写真に置ける記録性とアーカイブの意義を考察するのに格好な成果発表展になり、写真が地域社会の中で果たす新たな可能性を学ぶことができました

津久井アーカイブズプロジェクト写真展と報告、講演

(総括)


今回の企画イベントでは、美術館での初めての映画上映会、シンポジウムなど、より社会に開かれた今までに無い新しい試みとなりました。そこでは、学生たちが更なる写真の記録性、表現性を研究していく方向性を模索することができました。写真専攻では来年度に向けて、東京造形大学創立50周年事業、社会連携プロジェクトなどの企画を推進し、さらに刺激的で先端的な大学と社会を繋ぐ活動を積極的に担っていきたいと考えております。今後とも、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

写真専攻領域 大西成明、中里和人、首藤幹夫