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「CSP2-手法の触感-」展の開催報告

2014年11月23日〜12月2日に、桑沢デザイン研究所1階で「CSP2-手法の触感-」展が開催されました。

美術家はつねに、イメージそのものをそのまま提示できません。必ず物体の形を借りる事でその提示は実現されるため、素材をどの手順でどう扱うか、どの道具を使うべきか、どうすれば耐久力のある作品がつくれるのか等という問題と向き合うことになります。これまでの数多くの芸術家たちがこれらの問題に向き合い、多くの解決法を生み出してきました。そうした問題解決の積み重ねが、現在様々な手法となって残っているのです。本展では、その手法と表現の関係に注目し、今村洋平、榎本裕一、岡本真希、染谷悠子、ヒグラシユウイチ、山本桂輔の6名の作家を選出いたしました。

今村洋平はシルクスクリーンをレリーフとも呼べる厚みになるまで刷り重ね、斜め位置から見た視差を積極的に取り組んだ作品を制作しています。榎本裕一はウレタン塗料を支持体に何層も塗り重ねる事で制作を行っています。岡本真希は彫刻を学んでいましたが、身体と作品の関係を探る中、コンテンポラリージュエリーの領域で制作を続けています。染谷悠子はキャンバスに直接描くという手順だけでは生まれ得ない絵画表現を獲得するために、リトグラフで色彩をのせた極薄い和紙をカット、コラージュしていく技法を編み出しています。ヒグラシユウイチは彫刻の素材として岩塩を選び、モチーフとの間の関係に迫っています。山本桂輔は木彫を出発点にしつつ、絵画作品を同時に制作して独自のイメージを展開しています。
いずれの作家も、キャリアの形成過程においては絵画/版画/彫刻の手法を学びながらも、それぞれの手法に表現を委ねるのではなく、自らの表現のために転用/カスタマイズすることで斬新な作品を生み出しています。転用に至る道筋が手作業の積み重ねの結果であることも共通項として挙げられるため、タイトルを触感的な手法の転用—「手法の触感」といたしました。

本展で紹介する、一見世代も作風も異なる作家たちの表現活動は、脈絡のないものに見えますが、手法を積極的に転用している、という視点で設定するとき、作品に対する別の視座を獲得することができると考えます。

CSP 運営実行委員

 

 

 

 

 

 

 


「CSP2 -手法の触感-」
会  期|2014年11月23日[日・祝] - 2014年12月2日[火]
会  場|桑沢デザイン研究所1階(東京都渋谷区神南1-4-17)
時  間|12:00 - 20:00 ※11月23日のみ16:00-20:00
主  催|CSP(Creative Spiral Project)
共  催|東京造形大学 付属美術館
協  力|桑沢学園、桑沢デザイン研究所、東京造形大学CS-Lab
出品作家|榎本裕一 岡本真希 今村洋平 山本桂輔 染谷悠子 ヒグラシユウイチ

[レセプション]
  11月23日(日・祝) 18:00-20:00
[シンポジウム]
「手法の触感について」
 11月28日(金)18:30~
 <登壇者> 岡本真希 今村洋平 山本桂輔 染谷悠子 ヒグラシユウイチ 末永史尚
 <モデレーター> 沢山遼(美術批評家)

[CSP WEBSITE]