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留学生レポート(久保聡一郎)

久保聡一郎

領 域 : 絵画
留学先 : イギリス サウサンプトン大学ウィンチェスター美術学校
期 間 : 2011年1月17日~6月19日
担当教授 : Alex Schady, Colin Harper
研究テーマ : 認知とメタ認知の往復


研究概要

1/31  授業開始
3/7~3/11 Formative Feedback Week
3/23  New Media 留学生作品プレゼンテーション
3/31  New Media Exhibition
4/1  『Reflective Journal』 提出
4/3~5/2 Easter Break
5/6   学内個人展示
5/9   Cross Pathway Critic
5/23  『Specialist Practice and Research 2B』 提出
6/16~  Degree Show
6/17  全カリキュラム終了

 私は普段、人々が当たり前だと思っている事に違った視点を与える事をテーマに制作しています。 今回もイギリスの人達が気付かない日常の当たり前の事をリサーチし、いくつかのヴィデオ作品を制作しようと思いました。 また、週末はロンドンへ行き、イギリスで話題になっている展示を巡りました。 Easter Break という長期休暇には旅行へ行き、イギリスの自然や文化を見てまわりました。


研究成果

カリキュラム

『Formative Feedback Week』:
それまでに制作した作品をアトリエに提示し、指導教官に評価を受けます。

『Cross Pathway Critic』:
毎週月曜日にPainting、New Media、Sculpture、Printの留学生達が合同で3つのグループに分かれて講評を受けます。 主に学生同士で意見を言い合うのが主流で、指導教員は最後に何か一言付け加えるという形です。 日本の講評では、教授主導で講評が進められる事が多いので、生徒同士でグループ・ディスカッションをするのは新鮮な経験でした。

『Talking Heads』:
毎週金曜日に、アートの世界で活動をしている方を呼んで、講義を開いて頂きます。

課題

『Reflective Journal』:
自分の興味のある事や、影響を受けている作家、制作のコンセプトや動機などを自己分析し、指導教員に報告します。 英語での長文を書くのは不慣れで苦戦しました。 友人のReflective Journalを見る事で、その人が何を考え、制作の動機にしているかが分かり、興味深かったです。

『Specialist Practice and Research 2B』:
今まで制作した作品を提出し、指導教官に評価を受けます。

展示

『New Media Exhibition』:
New Mediaクラスの内覧会を開きました。

『Degree Show』:
卒業生達の修了制作展です。

制作

『Be or Not to Be;That is The Question』 ヴィデオ 8分37秒
身近なことで気になったのは、イギリスの人達が信号を無視して渡る習慣があることです。 もちろん日本でも信号を無視する人はいますが、イギリスの人の場合は大人から子供までもれなく無視し、興味深い光景でした。 私が知り合ったチェコの友人も、自分の国ではイギリス人ほど信号無視はしないと話していて、国によっての習慣の違いを感じました。 この作品は、私が信号を延々と無視し続けるという作品です。 日頃の何気ない行動を反復する事で、その行動に違和感を持たせようとする作品です。 タイトルには、イギリスの戯曲『ハムレット』に出て来る有名なセリフである事と、信号を無視する際の微妙な心の迷いを表す事の二つの意味を持たせました。

『All Around The World』 ヴィデオ 13分53秒
この作品は、自分たちの国の名前を母国語で言うという作品です。 イギリスは多民族国家です。 日本人である私にとって、街の中で様々な人種の方が行き交う光景は、とても新鮮でした。 多民族社会では、当たり前ですが、その国の母国語で話さなければいけません。 英語が世界共通語として普及する国際社会の中で、マイノリティな人達の局所的な言語にふと興味を持ちました。

『Watching TV』 ヴィデオ 3分28秒
テレビを見ている自分の顔を撮った作品です。 テレビから流れているのは日本のバラエティ番組ですが、私の表情を読み取る事で、どのような内容かを想像する作品です。 言葉は分からなくても、笑いは万国共通であると感じました。

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留学先指導教員による指導内容

Alex Schady:
私はNew Mediaというクラスだったのですが、基本的には毎週木曜日にスタジオに集まり、今後の予定を話したり、ディスカッションをしたりしました。 教員は予約制で、アポイントメントを取ってから面談をするという方式でした。 担当だったAlex Schadyは大変に親切で、英語がたどたどしい私に対しても、熱心にこちら側の意図を汲み取ろうとしてくれました。 私の作品に関しては、課題の内容を理解しようとする姿勢や、簡潔な分かり易さ、コンセプチュアルな中にもユーモアが混じっている事等を評価して頂きました。 興味のある作家をより深く研究することが、更に次のステップアップに繋がる事とご指導頂きました。 コミュニケーションを大切にする先生で、留学生の自己紹介の為に、New Media クラスで独自に作品プレゼンテーションを開いて頂きました。 英語でのプレゼンテーションは大変に緊張し、思うように自分の言いたい事を伝える事が出来ませんでしたが、イギリスの学生達との交流のきっかけになったと思います。 最後までお世話になり、大変感謝しています。

Colin Harper:
Reflective Journalを担当する先生でした。課題に関して分からない事を質問すると、丁寧に説明してくれました。 笑顔の素敵なおじいさん先生でした。

Kjetil Berge:
一番話題になったのは、私の英語力の事で、もっと英語力を上げる必要があるとご指摘頂きました。 しかし、難しかった質問をわざわざ紙に書いて渡してくれて、後日私がその解答を書いて返す、という方法で私の言葉に親身に耳を傾けてくれました。

Stephen Cooper:
この方はPaintingの先生だったのですが、留学生のレセプションを担当していて、最後までお世話になりました。 イギリスでの生活や学校での事をいつも気にかけて下さいました。

Nick Stewart:
直接の担当では無かったのですが、『Talking Head』の司会進行をしたり、毎週水曜日に個人的にミニマル・ミュージックの紹介をする講義を開いたりしていて、興味のあった私は足しげく出席しました。


留学中に、特に印象に残った点および反省点

 私が滞在したウィンチェスターという所は、ロンドンから南西へ電車で1時間程離れた静かな田舎町でした。 イッチン川という綺麗な小川が流れ、煉瓦造りの家々が立ち並び、町の中心にはウィンチェスター大聖堂という大きな教会がありました。 電車で15分程行けば、サウサンプトンという栄えた港町もありました。 私は大学のシェア・フラットに滞在しました。 トイレ・シャワー付きで、共同の電熱キッチンも完備。 歩いて10分程で大型スーパーマーケットもあり、生活には何一つ不自由はありませんでした。 フラット・メイトには中国や韓国などのアジア圏の人や、アフリカ出身の人まで様々で、みんなで夕食をしたり、話をしたりしました。
 週末は毎回ロンドンへ行き、ギャラリー巡りやロンドン散策をしました。日本ではなかなか見る機会の無い、イギリスの旬なアート作品を鑑賞する事ができました。 イースト・エンドと呼ばれるロンドンの東側は少し治安が悪いのですが、ギャラリーが多く点在し、カルチャーの発信地でもあり、大変興味深かったです。
 また、驚いたのは、留学生の数がとても多い事です。 100人近い留学生がいたと思います。 中には親日家の方もいて、食事をしたり、映画を見に行ったりしました。 話の中で、日本のマンガ、アニメの人気の高さも感じました。 作品制作を通して、私の作品に興味を持ち、質問して来てくれたのがきっかけで、話すようになる人もいました。 英語でのコミュニケーションは上手くいかないこともありますが、大事なのは想いを伝えようとする努力ではないでしょうか。
 また、日本というものを遠くから見つめ直す事で、今まで当たり前過ぎて見えなかった物が見えて来るいい機会になります。 滞在し始めてからすぐに、東日本大震災という大きな災害が起こり、日本人として不安にかられた事も大きな出来事でした。 この半年の留学生活の中で多くの経験をさせて頂いたと感じています。 このような機会を与えて下さった東京造形大学と両親に深く感謝したいと思います。

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