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留学生レポート(米窪洋介)

米窪洋介

領 域 : 美術
留学先 : イタリア カラーラ美術学院
期 間 : 2009年1月10日~3月24日
担当教授 : Mauro Franco Franchi
研究テーマ : 異文化間における個とその独自性


研究概要(日程・内容など)

このたびの留学において、私は以下の三点について研究を行いたい。

  1. 現代におけるイタリアの彫刻の研究。
    主にイタリアの現代の石彫を見修し、大理石を用いた表現の可能性を探る。
  2. 伝統的なイタリア彫刻の技術・技法の習得。
    日本とイタリアの石材加工には多くの違いがあり、イタリアでは大理石が多く用いられている。
    そのため日本の石材として多く用いられる御影石の加工方法以外に、大理石特有の技術・技法を習得したい。
    また複雑な形体に用いられる特殊な道具の知識を深めたい。
  3. イタリアの文化、風土を体感することにより起こる、自分自身の感覚および表現の変化。
    異文化にふれることで日本人としての独自性を再確認するとともに、留学後の作品における自己表現の変化について、
    留学以前の作品と照らし合わせ、表現領域の拡大を期待するものである。

研究成果

1 現代におけるイタリアの彫刻の研究。

 私が学びを受けたアカデミアは、街の中心から少し外れた公園の中にあり、手前に川が流れ、裏手に木々が茂るとてものどかな場所であった。
 指導を受けた教室は、塑造とブロンズ、また石彫をおこなっている。塑造の教室では主に人体をモチーフに制作が行われ、造形大学の教育に通じるところがある。海外ではアカデミックな教育が少なくなったと聞いていたため、意外な一面だった。石彫の教室では、色々な表現が大理石を用い行われていた。その中で私が感じたことは、イタリア人としての感覚的な作品が多いということである。環境の違いが表現に反映されることを強く感じた。なお、開校日数が少ないと言う理由もあるが、制作の作業ペースがとても早い。あまり経験がない生徒でさえもためらいが少ない点を見ると、国民性と言えるのかもしれない。

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2 伝統的なイタリア彫刻の技術・技法の習得。

 今回の研修で、石彫、ブロンズの工房を数多く訪れることができた。各工房では、現代を代表するイタリア人作家や海外の作家の受注による作品が、職人の手によりつくられていた。石彫の工房では、基本的には星取りと呼ばれる技法により、誤差1ミリ以下まで寸分狂わず彫り上げていく。優れた職人さんの技量と、経験から培われた感覚で彫り上げられていく作品を目の当たりにして、驚きに近い感動を得た。(写真撮影禁止) 残念!
 また、造形大学出身で本年度アカデミアを卒業された先輩に紹介していただき、ボルテッラという場所の美術高専にて見学、実習を行わせていただいた。この土地は、アラバストロと呼ばれる石膏の元となる石材をつかう工芸品、彫刻が有名である。石材としては柔らかく、細かい加工にはとても適した素材である。実習では旋盤による加工法方を体験させていただき、石彫の新たな技法を知ることができた。

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3 イタリアの文化、風土を体感することにより起こる、自分自身の感覚および表現の変化。

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 研修に赴いた場所カラーラは、大理石の採石において世界的に有名な土地である。そのため、毎日何十トンという石材がトラックに積まれ、山から港へ運ばれていた。町並みは、古くからの建物が繰り返しリフォームされ、伝統と文化が根付いた環境である。日本人として不便に感じることも多々あるが、人と人とが密接に関わり便利さだけでは補えない心のつながりを感じ取ることができた。表現者として私は人としてのあり方について考えさせられる良い機会となった。


留学先指導教員による指導内容

kome_04留学期間中、アカデミアに通える日程が一週間のうち3日間であった。そのため石彫による作品は、完成させることができなかった。
しかし、マケットの段階で形体としてよい点、再考した方が良い点のアドバイスを受けることができた。その中で私は、日本人としての感覚に自身を持つことの大切さを、気づかせてもらえたと感じている。なお、日本にはない道具の扱い方について指導を受け、知識が深まった。


留学中に、特に印象に残った点および反省点

kome_05今回の研修で、一番の心残りはコミュニケーションである。とても気さくの国民性のため多くの学生と関わる機会があったが、言葉の壁は想像以上に大きかった。公用語がイタリア語ということもあり私自身がイタリア語を少なからず身に付けていくべきであったと感じている。
 またアカデミアは国営で運営させている。そのため造形大学のように設備が整っているわけではない。在学中のことを振り返り、自分がおかれていた環境がいかに恵まれていたのか気づくとともに、反省するべき点も見えてきた。これらのことを踏まえ、これからの制作活動に繋げていきたい。