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留学生レポート(石丸暁子)

石丸暁子

領 域 : 室内建築
留学先 : オランダ ロッテルダム芸術アカデミー
期 間 : 2009年2月2日~7月4日
担当教授 : Jan Melis


研究テーマ

この時期のWillem de Kooningへの留学形態は、完全に現地オランダの学生と半期の授業に参加する形だったため、日本から用意していた研究テーマを使う事は難しかった。
しかしこの留学で現地の学生と変わらない扱いを受けながら学んだ事で、私の研究テーマであった「オランダモダニズムの研究」は充分果たせたと思う。現代を生きる自分と同じ世代の、同じデザインに関る世界の学生は今、一体何に興味を持ち、どう学んでいるか身をもって知ることが出来たからである。


研究概要(日程・内容など)

2/1 オランダ到着
2/3 学校で校舎案内を受けた後、指導教員と面会。授業プログラムを受ける。
2/9 授業開始。この日から学生寮に入居。
2/10 留学生歓迎パーティーで他国から来た50名程の留学生と顔合わせ。
3/10~16 Interior & Architectureの建築研修ツアーに参加。ドイツ、フランス、スイスで近代建築、美術館を中心にバスで回った。
4/20~24 前期の全授業で制作した作品のpresentation week。
4/25~5/3 春休み
5/4 後期授業開始。
6/29~7/2 後期の全授業で制作した作品のfinal presentatiion week。各授業やプレゼンの最後に先生からgrade(成績)をもらう。
7/8 オランダ発
7/9 日本帰国


研究成果

4th semester(後期)で制作した作品をPDFファイルに収めたので開いて観ることが出来る。
 4th semester(PDF : 2621KB)

学校は21時まで開いている上、私は自分の住んでいた寮まで自転車で10分以内だったので、毎日最後まで残り、仲間と制作に打ち込んでいた。私はinterior & architectureだったので主にwood work shop(木材工房)とceramic work shop(プラスチックや粘土等の工房)で作業することが多かった。
特にプラスチックでは、造形では触れないような成形機械や薬品に触れることが出来、クロロフィル等の危険な薬品も使い方さえ学べば学生の使用が可能な環境であった。そこではデザインの勉強だけでなく知らなかった技術や道具も沢山覚えた。やはりデザインは頭と手が同時に動くものだということを改めて学びなおした。
また、素材によって決定されるデザインやコンセプト、使う道具やフォルムなど、その工程全てが非常にコンセプチュアルで自分の好みであったこと。作品は自分でリサーチしたものとアイデア、素材の組み方や駆け引きの絶妙なバランスの上に完成し、そのデザイン全てにおいて、裏付けがきちんとされる、そんな一瞬の隙も許さないダッチデザインを学ぶことによって、新たな自分を発見することも出来た。


指導教員による指導内容

各科目に異なる先生が居たが、主に授業だけでなく全体の相談役もしてくれたのがInterior & Architectureのヘッド、Jan Melisだった。
指導内容としては毎週の授業で先生と学生の1対1のディスカッションがある。その間他の学生は長時間待つ事になるが、学生同士で互いのアイデアを話したり、違う授業の課題を進めたり、おのおの好きなように使っていた。時にグループを組んだりクラス全体も交えたりと形を変えながら沢山のディスカッションを行う。黙って黙々と先生の話を聞くような事はデザインの授業に於いては無かったと思う。
天気の良い日は外へ出て授業を行い、前期の成績発表の場所は美術館の中、と日本では考えられないような授業形態も多々あった。が、それらは学校生活と外部空間、美術・芸術を隔たり無く混ぜこぜにするまさにエキサイティングな学び環境であった。
また、先生から授業の参考書になるようなプリント等の配布は一切無く、基本的に自分でリサーチしたものとアイデアを編みこんだものが自ずとコンセプトに成り得ていた。これはオランダの教育の狙いなのだろうと感じた。


留学中に、特に印象に残った点および反省点

日本と西洋、デザインの方法から生活の暮らしぶりまでトータルして違っていたと思う。当たり前の事だが、知っていたようで暮らしてみないと分からなかったこと、驚かされたエピソードは数え切れない。しかしそれは、絶えず私の脳を刺激し、自分にとってプラスになることばかりだった。デザインに於いて言えば、日本の美術教育ではわりと感覚美的なものが少なくないが、まずオランダにはないと言って良い。コンセプチュアルデザインで有名なオランダは、何にしても何故なか?理由は何か?が永遠と相手を説得出来るまでつきまとってくる。そこで相手を説得できたとき、初めて概念美のデザインが生まれるのだ。しかし面白いことに、現地オランダの学生の中にはそんな日本の感覚的な部分が好きだ、という子もいた。理由を尋ねるとミステリアスで面白いらしい。
今回の留学は私にとって初めてのヨーロッパ、初めての長期滞在、初めての1人暮らし・・・初めて尽くしであったが、受け入れ先がオランダで良かったと何度も思う。オランダは人口の半分が移民で成り立つ極めて珍しい国で、オランダ語を母国語としながらも国民の殆んどが英語を使うことが出来る。つまり私のような人間を受け入れる体制が充分整っているということ。国土面積や人口も少なく、平坦な土地しかないオランダは他国から”ダッチアカウント”や”ダッチワイフ”といった少しアイロニカルな言葉に交えたネーミングをつけられる事があるようだが、その分強い意志を持ちながらも非常に柔軟な性格を持った国柄を感じた。この留学では、デザインの勉強を通して西洋の文化・精神性についても学ぶことが出来た。