Home > 一般入試 参考作品解説(2011年度)
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デッサン、油彩画ともにモチーフを巧みに利用して自分の物語的世界を丁寧に作り出そうとしている。全体の構成力と細部のアクセントの入れ方に優れた造形的素養が見受けられる。絵具の扱い方はまだつたないが、入学後の制作でなんとでもなるだろう。
対象を面として捉えメリハリのあるコンポジションの特徴は、デッサン、油彩に貫かれている。特に油彩においてはモチーフ全体像から、積み上げられた箱の部分を大胆に切り取り、背景を彩度の高い赤で描き分けることで緊張感のある強度な画面を決定づけ好感が持たれる。
デッサンI、油彩画ともに安定した描写力を認めることができる。油彩は、乏しい光の中からモチーフが独特な色彩を帯びて浮かび上がるという魅力的な画面を作っている。特徴的なハイライトの扱いも印象的ではあるが、やや方法論的な傾向にも見られる点を指摘しておきたい。
大胆な構図で画面の中心を強調したドラマチックなデッサンとは対照的に、構成的な色面の中に、対象物の在る空間を渾然として描いた油彩画は、洗練された造形感覚を求める制作の意識を感じさせる。自身が持つ表現感覚と能力を、それぞれの画面で発揮しており意欲的である。
デッサンも油彩も独特な線の流れを用い空間を創り出している。モチーフを手掛かりに独自のイメージ世界に入り、エネルギッシュな浮遊感を創りだしている。油彩では色彩そのもののエネルギーと一緒になり、魅力ある画面をつくり出している。
油彩は何処までも武骨な色彩でオーソドックスな空間を創り、木目の流れを強調する事で意志を示している。デッサンは、大胆な構図であるが作者の企みに魅力を感じた。
デッサンと油彩ともに、対象を素直に見据えて、現在の自分の描く能力の高さをよく見せている。油彩の構図では堂々と安定したなかにリズムよく変化を持たせ、デッサンの袋と粘土の扱いでは、丁寧に考えて配され、その視線をよく感じられるように描いており、大変好感の持てる制作姿勢である。
油彩作品は「自由に絵画制作しなさい」とある問題文を、この受験生は大胆に試行したと言えるだろう。モチーフを空間に配し、箱の中から絵具の線が画面全体に吐き出されたようだ。技術的にはまだ不十分だが、惹かれる作品である。デッサンは粘土と紙でモニュメント的なものを想定したようだが、画力にやや欠ける。
油彩、デッサンともに古い映画のように画面の縦方向に線が走っている。油彩は色彩を抑えた表現であり、デッサンも諧調の幅を抑えた静謐な印象である。この受験生は入試解答ではあるが自身の絵画作品としての様式意識を持とうとしているのが評価でき、好印象である。



