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2012年度 ZOKEI賞について

2012年度ZOKEI賞受賞者は、以下のとおり決定いたしました。
受賞者には、別途通知いたします。


学部(33作品)

専攻領域 学籍番号 氏名
グラフィックデザイン 901613 大場 郁弥
901620 川島 直人
901631 佐野 史織
901635 嶋 香澄
901640 関 あるま
写真 902606 小幡 徹
902619 松田 真生
映画 903606 石向 洋祐
903610 大竹 優輝
アニメーション 904604 上野 雄大
904616 菅沼 花会
904633 山本 芽以
メディアデザイン 905629 宮武 孝行
905201 渡邉 真央
室内建築 906603 飯塚 尚
906611 大石 佳名子
906617 草本 海郎
906630 高橋 菜月
インダストリアルデザイン 907609 風間 洋祐
907635 三宅 明子
907642 渡邉 瞳
テキスタイルデザイン 908605 岩室 勝也
908619 髙橋 佑佳
908621 谷山 友惟
サステナブルプロジェクト 909606 稲葉 妃菜
909301 西野 希
絵画 910619 大久保 薫
910646 島貫 祥子
910653 田神 光季
910658 豊田 奈緒
910679 村田 紗樹
彫刻 911610 末松 しずか
015008 岡野 智也

2013年1月31日

2012年度ZOKEI賞審査委員会委員長  井原 浩子
東京造形大学 学長          諏訪 敦彦





大学院(5作品)

修士論文・修士制作(5作品)

研究領域 学籍番号 氏名
デザイン 151008 狩野 嵩大
151022 真野 彰子
美術 152005 大平 歩
152007 神山 亜希子
152025 三上 麻里

推薦理由

■151008 狩野 嵩大(デザイン研究領域)
「彼方」
過去、現在あるいは記憶と体験という物語映画の制度を批判的に解体しながら、俳優の身体、思考、記憶という「他者」の領域を積極的に映像に取り込み、記憶の主体の問題を問いかける。精緻な演出により時制を決定不能にしつつ、そこに新たな関係性を構築しようとする果敢な取り組みである。映画が宿命的に孕んでいる世界を「囲い込む事」(構築)と世界を「受け入れる事」(記録・記憶)の側面に引き裂かれる事を積極的に捉えて、独自ともいえる映画の「語り」を実現している。

■151022 真野 彰子(デザイン研究領域)
「Between the Folds」
軽やかで明るい色彩の布たちが秀逸である。立体感にあふれる独創的なこれらの織物は、織物組織(構造) の綿密な研究から導き出されたもので、一般的なプリーツとは異なり、山・谷の折り線があらかじめ組織に組み込まれている。独自の発想と地道な研究から生まれたこの組織設計は見事である。組織が平面的な織物=布に豊かな表情を与え、テキスタイルの世界に新しい地平を切り開いたのだが、何よりも、作品群の美しさを高く評価した。

■152005 大平 歩(美術研究領域)
「瞬」
作品を構成する数々の画面は、多くの制作経験から得られた木版の豊かな表情を持っている。ZOKEI展の作品展示では、それらの縦長の様々なスケールの画面と間で構成され、広大な空間全体をひとつの表現として提示している。その全体は幾つかの構成群に分けられ、それぞれに主題が感じられる。壁面の横に広がる時空間を縦長の画面で制約することで、作者の関わる精神的部分を調和させ、移り行く瞬間の連続を表現し、秀逸な作品である。

■152007 神山 亜希子(美術研究領域)
「It passes」
制作者は人間の感情をテーマに制作している。作品は、主にドライポイントという直接銅版に描く技法を使い、間接表現である版画でありながらも生々しい怒りや悲しみ、喜びなどの感情の表現に成功している。
今回の展示では、3年次から現在までの作品の中から数10点を選び美術館の壁面を埋め尽くした。それは制作者が時間をかけて1点1点に込めた感情の表現を、見る者に圧倒的な迫力で感じさせる力強さがあった。この展示を経験できたことは、今後の制作にとって大きな収穫になったと思う。
人間の感情というテーマのせいか、感覚的で物足りなさを感ずる作品もあるが、未整理な部分や不安定なバランス、反対に理性的な部分など様々な要素が混在していることが作品の魅力に繋がっている。
着実に制作を続けてきたことの結果として今回の展示があり、高く評価できる。

■152025 三上 麻里(美術研究領域)
「Epithese」
鉄と豚の生皮と言った異素材を巧みに利用して、新たな彫刻分野での造形的効果を探った。人体の持つ有機的なフォルムとそれとは逆な崩壊し無機質なものに変化しつつあるフォルムの組み合わせにより、生の意味を深く問うものである。新しい素材は、新しい表現につながる。という考え方があるが、まさにこの作品は、豚の生皮を使用することにより、その可能性を大いに秘めていると感じられる。
上記の理由により造形賞に推薦した。


2013年1月31日

東京造形大学大学院研究科長   沢 良子