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帰国特別講演 ZOKEI講座 「チェコ共和国の文化と人形劇」/開催報告

本学卒業生の佐久間奏多さんと林由未さんを招いて、ZOKEI講座 「チェコ共和国の文化と人形劇」が開催されました。


会場の風景


【左】講演の二人 【右】佐久間奏多さん


【左】林由未さん 【右】司会の春日教授

日程 : 5月24日(火)
時間 : 13時20分~16時30分 佐久間奏多ワークショップ
     16時40分~18時10分 帰国特別講演会
場所 : ワークショップ 8ー207造形演習室
     帰国特別講演会 12-201大学院レクチャールーム
対象 : 学部、大学院の全学生及び教職員
主宰 :春日ゼミナール、大学院春日研究室(協力:森ゼミナール)
協賛 : テキスタイルデザイン、アニメーション、グラフィックデザインの各専攻領域、ハイブリッド・造形基礎科目部会
企画・進行 : 春日明夫教授

【講演会趣旨】
 佐久間奏多さん、林由未さんは、共に東京造形大学を卒業し、チェコ国立芸術アカデミー大学院人形学部舞台美術科を首席で修了しました。その後、チェコを拠点にして世界的に活躍しているアーチストの二人です。佐久間さんは、ナ・ドラニ(チェコ語で手のひらの上という意味)という独創的なマリオネットの制作をはじめ、舞踏などのパフォーマンスを展開しています。また、自作のパペットを使ってハンディーキャップのある子どもたち向けのトイ(人形)セラピーの活動も行っています。一方、林さんは糸操り人形制作の他、人形を使った舞台美術演出家として、現在チェコで注目を集めています。大学時代から人形美術の制作に興味を持ち、春日ゼミナールのゼミ展では、現在の糸操り人形の原点となる作品を発表しました。
 この二人の表現や活動状況は、デザインや美術という枠を統合した、まさしく本学の教育理念である「造形の思想」を見事に展開している卒業生たちです。新教育課程になり、新たな「造形の思想」や「造形の理念」を再確認すべき重要な時です。この講演会を通して学生や教職員等に本学の「造形」の意味を理解していただくために企画しました。


佐久間奏多氏のワークショップ「仮面」自己紹介用のマスクをつくろう


チェコから持参してくれた自作の小道具でていねいに説明してくれました。


佐久間氏自作の小道具(軍手のパペットやマスクなど


春日ゼミ、森ゼミ合同のワークショップ制作スナップ



制作終了後は、化面(マスク)をつけて自己紹介のパフォーマンスです。


【佐久間奏多 ワークショップ】
 佐久間奏多さんがヨーロッパを中心に展開している定番のワークショップ「仮面」、このワークショップに春日ゼミナールと大学院生、森ゼミナールの学生、総勢40人程度が参加しました。又、林さんもサポート役をしていただきました。佐久間さんは、わざわざチェコからワークショップで鑑賞用に使用する仮面やパペットを持参していただき、その小道具を使って手振り、身振りを交えて分かりやすく説明してくれました。制作のテーマは「自己紹介」です。その後、参加者は約120分間の制作を行いました。完成後には、全員が作品の仮面をつけてテーマの自己紹介の発表を行いました。発表時は、参加者の奇抜なアイデアに対して驚きや笑い、大きな拍手の嵐という和やかなムードで、佐久間さんや林さんもとてもご満悦の表情でした。


講演会会場のチェコ人形の玩具(春日コレクション)


佐久間奏多氏の作品(春日コレクション)


林由未さんの作品(この講演会のために持参してくれました。赤い蝶ネクタイの男性は「おもちゃ博士」というタイトルで春日教授をイメージして制作してくれました。

【帰国特別講演「チェコ共和国の文化と人形劇」】
 この講演会はZOKEI講座でもあるため、会場には専攻領域や学年の枠を超えて、多くの学生が参加しました。佐久間さんと林さんはパワーポイントを使ってビジュアル的に講演してくださいました。主な内容は、チェコ共和国の文化や現況、お二人が学んだ大学の教育課程や教授の仕事、人形美術や舞台美術、アニメーションの実態、二人の作品紹介などです。90分というとても短い時間ではありましたが、とても丁寧な説明で、参加した学生も二人の話に納得していたようです。さらに、講演の後半には、参加者からの質問の時間を設けていただき、大学院生や学生から熱心な質問や感想がありました。この講演会は、学生たちにとって刺激的で充実した時間だったことでしょう。私たち教員も卒業生の教え子から沢山の学びを得ました。尚、会場にはチェコの人形・玩具の「春日コレクション」(約60点)を展示しました。佐久間さんや林さんの制作した作品をはじめ、現代チェコを代表する珍しい作品がたくさん展示されているため、参加者の学生たちは直接手に触れたり、写真に収めたりして、とても興味深く鑑賞していました。
 最後に、この講演会を通じて先輩方の仕事やあり方に刺激を受けた学生も多くいることと思います。佐久間さんや林さんが口を揃えて言っていました。「東京造形大学の専門分野も大切ですが、それらの枠を超えて自分自身の表現やライフスタイルを確立していってくれることを願っています」。ここに本学の卒業生であるお二人の「造形の理念と思想」を強く感じられ、この企画を実施して本当に良かったと思います。協力してくださいました大橋正芳、長尾信、森まさあき各教授にはお礼を申し上げます。
文責:春日明夫