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ただいま制作中 -I’ll never stop making Art!!展

会期:2017年11月20日(月)-12月1日(金) 日曜祝日休館
時間:10:00-20:00(最終日は15:00まで)

 2017年度 学部清水ゼミ&大学院アートコミッションワーク A,B,C,D合同「ただいま制作中 — I’ll never stop making Art 」展を開催いたします。
 元祖現代美術と言うべき マルセル・デュシャンは、8年間にもわたって断続的に制作した、<彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(=通称<大ガラス>>を、「未完のまま」1923年放棄したかに見えました。あとはただ、デュシャンはチェスゲームに没頭していたように見えたのです。けれども、その実、彼は、1946年から1966年まで、<(1)落ちる水(2)照明用ガス、が与えられたとせよ(=通称<遺作>)>を密かに作り続けていました。この<遺作>のエピソードは、いたずら好きのデュシャンとすればいかにも彼らしい作品と言えます。しかし、<大ガラス>にも<遺作>にも、フィラデルフィア美術館の「デュシャンルーム」を訪れ、その作品を実際に見たならば、誰もがその、えも言われぬエロティックな姿に、ある種の強烈なエネルギーを感じることでしょう。マルセル・デュシャンはあの有名な、便器を逆さまにした<泉>のレディーメイドから、死後しばらくの間公開を禁じられていた<遺作>まで、生き生きとした生命的エネルギーを作品に込め続けようとしたように思われます。密かに進行させられた<遺作>の「制作中」は、デュシャンが作品に込めようとしていた「4次元的」なエネルギーの現れに他ならないでしょう。それはまた、静止し、固定された表現のありよう、フリーズ(既成的になり、枯渇)してしまった芸術のあり方に対する、マルセル・デュシャン独特の「反芸術的」なアンチテーゼでもありました。そしてその行動は、芸術の「再生」への願いとエネルギー注入の実践であったに違いありません。
 本展では、あえて学部ゼミと大学院プロジェクトのメンバーの「制作中」作品を一般公開します。そのことによって、時事刻々変化し生成するメンバーたちの「制作中」をこそ、積極的な展示の内容としたいと思います。作品は「完成」や「形式」に止まることはないでしょう。メンバーたちは、描き、作り、それを持ち寄り、また議論し、さらに描き、作ることによってあたかも、デュシャン芸術がなそうとしたように、「四次元的(=停止しない「時間軸」を持ち続ける)」作品として、いつ果てるともなく進行し、「制作中」のうちで、常に表現の真只中に留まり続けようとするのです。
 そのような「制作中」へと来場者の皆様も足を踏み入れたならば、もう一人の「停止延期」のデュシャンとして、何かを描き加えてゆかれることでしょう。それを受けて「制作中」展は、さらにまた「ただいま制作中」であり続けることができるでしょう。

本展の実現にご協力くださいました全ての方に心から感謝いたします。

2017年11月20日
本展指導担当教員
清水哲朗