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留学生レポート(山本萌夏)

山本萌夏

領 域 : サステナブルプロジェクト
留学先 : スウェーデン コンストファク
期 間 : 2011年8月27日~2012年1月10日
研究テーマ : 北欧の工芸文化から日本でも可能なサステナビリティの発見


研究概要

初めの2ヶ月はセラミックのオブジェを制作していました。ですが、この国で過ごして行くうちに、ただのアートだけで終わる作品ではいけないと思いました。オブジェにもなるし、実用的にも使える作品がこの国には多いような気がしました。それこそ北欧の工芸文化が現代でも人気の理由なのではと考えました。そこで思い切って二ヶ月かけて制作していたものを中断し、時間をかけてこの国を見てみる事にしました。そのあとの二カ月が本格的な制作期間になりました。


指導内容

最初、ガラスを素材とした制作を考えていましたがこちらにきて陶器の授業が受けられる事をしり新たな素材を研究してみたいと思い変更しました。
留学生は単位にも縛られていないので自由に制作をさせてもらえました。
基本的に一対一で講評してもらうので自分のペースで制作を行える事ができたのは助かりました。


研究成果

「二つの陶器作品の制作」
ひとつはパズル型の変形可能な鍋敷きを提案し制作しました。他には二つの機能を持つキャンドルスタンドを制作。データ破損で写真が手元に無いのが残念ですが、初めての素材を実験的に楽しみながら作り上げる事が出来ました。
留学中、四カ国旅行しましたがその中でもスウェーデンは日常にデザインという言葉がよくに似合う国でした。世界一長い美術館と言われるように地下鉄各駅がアーティストによって装飾され、一駅降りると全く違う世界に来た錯覚に陥りました。工芸作家のギャラリーも日本より遥かに多く、町中におかしな可愛い毛糸の装飾をしていく不思議な集団もありました。更に小さな子供が美術に来て作品を鑑賞している姿もありました。日常とデザイン、アートが隣通し。これをスウェーデンにきて強く感じました。持続可能なデザインは日常から離れない事、だと改めて学びました。


現地での生活

・季節を感じる光

はじめてこの国に降り立った時感じたのは光の美しさでした。透明な光というのはこうゆうことを言うのだと感じました。更に街には照明を売る店が多くありそれのどれも種類、デザインが豊富で見とれてしまいました。そして、光といえばこの国にはパーティーや来客の際にはキャンドルに光を点しその暗がりの中で食事をする習慣があります。私も招待されてキャンドルの中で夕飯を食べる事を体験しました。ただ、その中で私は自分がこのキャンドルのあかりを暗い、とどこかで思ってしまった事に酷く衝撃をうけました。思ったより自分は日本の明るさに馴れきっていたのだということに。暗闇の中でゆっくり食事をしながら小さな明かりとともに語らうのをこの国の人々は好みます。日本では震災からキャンドルナイトという言葉が盛んでしたがこの国の人々はずっと遥か昔から習慣として楽しんでいるのです。よく見てみると街にはキャンドルはもちろんスタンドの種類も日本と比べ物にならないほど豊富に売っていました。
こうして生活しているうちに気づいたのはすぐに日が落ちてしまうここではわずかな光を大切にしている、四季の移ろいをしっかり感じようとしている。暗いなら位なりの楽しみ方を。寒いならその寒さをめでようという意識を感じました。

・とけ込むデザイン

今度はスウェーデンにある「日本」を探してみようと思いました。日本人の女性が経営するデザインショップにいかせてもらい少しお話も聞かせてもらいました。北欧デザインの本もいくつか出している彼女の店は日本風なデザインのインテリア、もちろん日本の伝統的な工芸品もおかれていました。日本で見たことある手ぬぐいもあったのにそれがここでは新鮮に見えました。北欧風な店内なのにおいてある商品は日本風。ですが、全く違和感などなくそこにとけ込んでいました。そういえば、北欧デザインはシンプルで色は明るいものが大いにしても主張し過ぎて他のものを潰しているようなものは見かけません。なぜか統一感のある部屋を作り出してしまう。
主張しすぎないシンプルで機能的なそれは逆にうつくしい調和をもたらしていることを改めて気づきました。

・受け継ぐサイクル

学校の校外授業でスウェーデンの有名な陶器会社の工場跡地にある博物館にいきました。陶器に興味が無かった私がそのグスタフスベリの博物館の数々の陶器には魅了されました。シンプルで華美さはありませんが可愛らしいデザイン。美しい形のもの。ここに来てからよく陶器をみるようになりました。アンティークや蚤の市にも足を伸ばしブランドものからそうでない安物まで見るようになりました。マーケットにはこの期間にイギリス、フィンランド、ドイツと旅行しましたがどの国でも行くようにしました。
イエニテボリの美大の友人と話す機械があったのですが彼女は安物のインテリアやテーブルウェアを買うのは好きじゃないと言っていました。インテリアもそうですが日本でもテーブルウェアなどは捨てずに両親から受け継ぐという形が多い気がします。それは古くさい品ではなく重厚でセンスの光るもので、これなら新しいものなど買わないでこれを大事に使い続けた方がいい。
他には私もよくお世話になっていた店で「ストックホルム・スタッズミッション」というセカンドハンドのリサイクルショップがあります。日本では古着というと逆にブランド化されてしまっていることもありますがここではかなり手頃な値段で洋服を色分けしてうっていました。チェーン展開していて街のいたるところにありどの店もお客さんがたえません。
使い捨てではない孫の代まで続く家具や品を選ぶ、または作り出している事の重要性を改めて知りました。


帰国後の目標

英語も実際に会話で使用してみると日本で勉強していたのとは天と地の差がありなかなか意思疎通が出来ずはがゆい思いもしましたが、先生方も生徒たちも本当に親切で何度も助けられました。こんなに真剣に作品についても自分自身にたいしても考えたのは初めてでした。私はこの学校を活用しきれなかった点が多いですが本当に良い大学でした。この国もいつかまたもう一度来たいと思える場所です。自分の不甲斐なさや人の優しさ、新鮮な経験。今回の留学からもう一度、海外で学びたいという目標を持つ事が出来ました。
このような貴重な機会を与えていただいたことに本当に感謝しています。ありがとうございました。

2011_01_01