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留学生レポート(清水美咲)

清水美咲

領 域 : 写真
留学先 : スウェーデン イエテボリ大学写真学校
期 間 : 2009年1月22日~3月31日
担当教授 : Hans Ekelund


スウェーデンの現代写真の研究及び制作

私がスウェーデンを選んだのは人々が置かれた環境に向き合って生活しているイメージを持っていたからです。あまり無理はせず、ゆっくり着実に生活していく事に魅力を感じています。想像していた通り、スウェーデンの人々は少しシャイですが優しい人々で一日の時間をゆっくりと過ごしているように感じました。

研究題目:スウェーデンの現代写真の研究及び制作
作品タイトル:tiny voices /ごくちいさな声
 時はめまぐるしく変化している。人々は新しい電化製品や食品、流行の服に興味を持ち、それを手に入れる事を望んでいる。そして世界中を旅したいと願う。私たちは未来をみているからだ。しかし私はありふれたものに魅力を感じてしまう。時々、被写体が「ここにいるよ。」と小さな声で話しかけてくることがある。私はその声を出来る限り集めていきたい。

 この課題は造形にいる間もずっと取り組んでいたものです。  当初はスウェーデンの雑誌における写真について研究するつもりでした。  しかしスウェーデンで驚いた事の一つなのですが、私の学校(以下HFF)では「ドキュメンタリー写真はアートではない。」と多くの人が考えていました。  「ドキュメンタリー写真を撮りたいのなら、なんでジャーナリズム専攻に行かないの?」と言われてしまいます。  そのことで自分が計画していた研究題目を続けることに不安を感じてしまい、もう少し視野を広げる事にしました。  そして、今まで撮り続けてきたテーマをこの土地で試すことにしました。
 HFFの殆どの学生はカラー写真に取り組んでいます。  勿論文化の違いもあると思うのですが、カラー作品を制作するには素晴らしい機材がそろっているからだと思います。  カメラはハッセルブラッドを始め、マミヤ、ニコン、キャノン等を1週間単位で借りる事が出来、カラーフィルムの現像はタダです。  そして高価で優秀なフィルムスキャナーとC-typeプリントが出来るドイツ製の大型プリンターがあります。  紙代も安く提供されていて助かりました。  学校の機材はすべて Time Editというシステムを使ってウェブ上から予約して使います。  しかも学校は24時間解放されているので、昼間に撮影して夜中に学校で作業をしていました。  しかし、授業が月に一回しかなかったのが少し残念な点です。  私が参加していたのは留学生対象のクリティッククラスで、今年は人数も少なく5人ほどでした。  一人に対し、約1時間の持ち時間が用意されていて驚きました。  1回目の授業では、日本の作品を持っていきましたが反応は悪かったように感じます。  日本の写真文化との違いもあるのでしょうか。  しかし最後の授業ではクラスメイトや先生も、私の作品に興味を持ってくれました。  5人に見せるだけでは悔しいと思い、学校の皆が一番使用するトイレで作品を展示する事にしました。  深夜にコソコソ搬入をして、次の日みんなを驚かせることに成功しました。  沢山のクラスメイトが「良かったよー。」と声をかけてくれて嬉しかったです。
 ヨーテボリはとても小さな街で、休みの日にもクラスメイトとばったり遭遇します。  寮から学校、学校から市の美術館は歩いていけるほどの距離で、特に美術館に併設されているハッセルブラッドライブラリーにはよく足を運びました。  図書館には世界中の写真集と雑誌があり、写真集のスペシャリストのエルサさんという方がいて、沢山の新しい北欧の写真家の作品や、それにリンクしたヨーロッパの作家を紹介して頂きました。  この図書館で計90冊の写真集を研究出来た事は大きな財産となっています。  市の美術館やギャラリーでは毎月オープニングパーティーやアーティストトークが開かれていて沢山の刺激を受けました。
 もう一つ、スウェーデンに行って驚いた事は、学生が自らを写真家と考えている所でした。  クラスメイトの作品が雑誌で紹介されていたり、美術館に収蔵されていたり、なんとTVでインタビューを受けていたり!していました。  私が驚きを隠せずにいると、「スウェーデンは小さい国だからね。」と言われましたが、HFFの学生の行動力に焦りを感じました。  造形に交換留学生として来ていたMårtenやKlalaも自らの写真集を自費出版し、日本を始め、沢山の本屋に売り込みをしていました。  私はHFFの学生と造形の学生との作品のレベルはそう変わりないと思います。私も自分の作品に自身を持って、世に出していく努力をしていくべきだと痛感しました。
 学生寮では専攻が違う様々な国の学生と知り合う事が出来ました。  これもマンモス校であるヨーテボリ大学のお陰です。  法学部、経済学部、医学部のインターン生など、もの凄く頭のキレる学生と毎日のようにキッチンでご飯を食べたり、TVを見たりしたのもかけがえのない思い出です。  休日には近くの公園に散歩に行ったり、寿司を食べにいったり、中国人の友達から太極拳を習ったりと制作以外にも刺激は沢山ありました。  留学生を対象に開かれているスウェーデン語の授業に参加した時、日本人留学生と出会う事ができて、ホッとしたのを覚えています。  造形とも提携しているウィーン芸術アカデミーからの留学生とも寮で知り合い、実際にウィーンに行って校内を案内してもらったこともワクワクするものでした。  毎週のようにクラスメイトの家でパーティーがあって、最後の週には大学院生の展示を見るため大型バスを貸し切って皆で隣町までバスツアーをしたり、そのあと学生の作品について批評しあったり(これは最後まで苦手でしたが...)毎日いろいろなことがありました。
 二ヶ月という短い時間の中で沢山の素敵な経験が出来たのは、去年HFFに行った高梨さんのサポートと、HFFのクラスメイトや先生、応援してくださった造形の先生や友達のお陰だと思います。  この機会が私に与えられて、感謝しています。